美唄市視察 美唄市役所
美唄市視察の日程の2つ目は、市役所での意見交換でした。今年6月に導入されたパートナーシップ制度について、美唄市総務部広報情報推進課、導入に深く携わった事業者より説明を受けました。
【担当課からの説明】
・美唄市はアイヌ語で「貝の多いところ」という意味。明治23年より屯田兵が入植し、農業を始めた。人口は約18,000人。炭鉱が栄えていた昭和31年をピークに、エネルギー政策の転換で人口が減少している。移住・定住政策で社会減は減っているが、自然減により年齢層は上がっている。高齢化率は45.2%。
・「誰もが尊重され、住んでいてよかったと思えるまちへ」を掲げ、美唄市に残ってもらえるようにパートナーシップ制度が導入された。
・特段、パートナーシップ制度の需要があったわけではない。制度の登録件数を増やすことより、「誰もが安心して暮らせるまちである」ことを示すことが目的。
【事業者からの説明】
・当初は地域おこし協力隊として美唄に移住した(現在はデザインやガイドなどを行う法人)。パートナーシップ制度の検討委員会で導入に携わってきた。
・心理的抵抗感がないように、やさしい入口にした。美唄の風景で虹色をつくった(赤は紅葉、橙は炭鉱の櫓、黄は菜の花、緑は稲穂、青は雪景色、紫はソメイヨシノの夜桜)。シンボルマークには、多様な部位が串に刺さっていることから、美唄焼き鳥をモチーフとした。
↓こちらをご覧ください。
https://www.city.bibai.hokkaido.jp/soshiki/2/26854.html
・市民参加型の企画展『大切な人に贈る花』を企画し、市内の商業施設にて開催した。「誰かを思う気持ちはセクシュアリティにかかわらず同じ」ということが表現されていた。LGBTQについては、「理解しましょう」「こんなに困っている」というような展示が多いが、鑑賞者に間接的に気付いてもらえるようにした。
・パートナーシップ制度の宣誓書はソメイヨシノをモチーフとしている。後発ではあるが、美唄市で申請してもらえるようなデザインにした。
【質疑応答】
Q 反対の声は?
A 大きなハレーションはなかった。条例はほぼいじらなくてもできることが多かった。住宅条例だけは同一親族が条件で、改正した。パブコメでは「よくわからない」という声があったが、進めるべきという意見がほとんどであった。
Q 議会での議論について。
A 常任委員会では、ファミリーシップと異性カップルについて意見があった(対象範囲に家族や異性愛者を含めることについて)。特段大きな質疑はなく、全会一致だった。すでに美唄市福祉のまちづくり条例が制定されており、普段から障がいのある方に接する機会も多く、大きな抵抗感はなかったと思われる。
Q 利用者数について。
A 申し込みが殺到したわけではない。役所に来ることでカミングアウトすることになるので、手続き上のハードルはある。他の自治体から移住してきてもネットワークに入っているので利用できる。
Q 普及率、認知度を高める活動について。
A 市民向け、小中学生向けに研修を行っている。学校の中でも養護教諭は研修を受けているが、一般の先生はまだなかなか受けられていない。
Q 養子縁組を除くことについて。近親者について。
A 今の婚姻制度を補完する目的なので、検討していない。広げるならファミリーシップ。
Q 企業、病院などの対応について。
A 広く一般企業にも認知いただき、休暇、介護休暇などをパートナーでも取れるようにしていきたい。お子さんのお迎えについて、直接の親子でなくても、パートナーであれば行けるようにしていきたい。
Q 国や道の制度上、管轄外でできないことについて。他の町との連携や単体での懸念点、基礎自治体でやることの難しさについて。
A パートナーの相手方が他市町村でも受け入れることができるよう、はじめから幅広く設定している。墓地の問題については法律上の定めがないので、取り扱いの内規で対応でき、差し当たり問題はない。パートナーシップがなくてもできることはある。休暇などがまだ整理されておらず、今後の課題。
A パートナーシップ制度は自治体ごとのルールなので、できることは限られている。「やるぞ」という職員がいないと立ち上がらない。動いている職員がいて、このような制度がつくられている。「公務員ってたいへん。」
市役所での意見交換の後、1点気になる点があったので聞いてみました。
Q 炭鉱のまちなので、もともと多様性の歴史があったという話があったが、どういうことか?
A 炭鉱で働く方にはいろいろな家族の形があり、例えば炭鉱で命を失った方の残された家族や母子家庭など、みんなで支え合っていた。
パートナーシップ制度の導入に際し、特段のハレーションはなかったということはとても興味深かったのですが、その背景には、美唄市民になじむように、携わった方々が丁寧に丁寧に進め、また既存の制度を活かしながら導入したという、たいへんな努力がありました。心より敬意を申し上げます。パートナーシップ制度の導入を機に、美唄市のますますの発展につながることを願っております。


