長崎市役所での意見交換(宿泊税について)

北海道議会では観光振興を目的とした新税(宿泊税)についての議論が続いています。コロナ禍の中、議論が一時中断していましたが、行動制限緩和に伴い再開されています。道内で導入している、道の動きを見ながら導入を検討している市町村もあり、慎重丁寧でなおかつ早目に考えを示すことが求められています。まだ少数ではありますが全国で先行して導入している自治体が徐々に増えてきており、長崎市もその一自治体です。今回は長崎市の担当各課に取り組みの経過について話を伺う機会をいただきました。

制度の概要について
長崎市内の旅館、ホテル、簡易宿所、住宅宿泊事業(民泊)への宿泊者が対象となります。税額は1人1泊あたり

1万円未満 100円
1万円以上2万円未満 200円
2万円以上 500円

の段階的課税です。
修学旅行などの学校行事・スポーツ大会などに参加する生徒と引率者は除きます(応援に行く、練習試合などは除く)。この課税免除の理由については、
・都市間競争に勝ち残る
・大きくなって長崎に来てもらいたい
・離島が多い
学校長が証明書を作成し事業者に提出します。

導入の背景について
・人口減少や高齢化のため税収減が見込まれ、新たな財源の確保が課題。
・市外からの訪問客の誘致し、交流の産業課を特定戦略を掲げている。
・都市の魅力を高めるために宿泊税の導入

経過について
・H28 庁内WGを立ち上げ
・H29  関係課で会議
・H30 議会で検討を進めたいと答弁
・R1 第1回宿泊税検討委員会
・その後5回の検討委員会で素案。市長に報告書提出
・R2 事業者との意見交換会
・R3 段階的な税率とする方針決定
・R4 宿泊税条例可決 総務大臣同意
・R5.4 宿泊税導入

使途について
5つの柱と宿泊税賦課費に分類されている(①からが優先順位)
①サービスの向上・消費拡大(長崎さるく推進費など)
②情報提供(シーボルト来日200周年記念事業費など)
③受入環境の整備(世界遺産保存整備事業費など)
④資源磨き(観光施設のライトアップなど)
⑤緊急時対応(観光需要の回復・喚起を図る事業)
⑥宿泊税賦課費(周知や賦課システムに要する事業・事業者への交付金)
※交付金は納付額の2.5%
制度見直しは3年ごと。5年では変化に対応できないため。

令和5年度の充当額合計は約37億円(その分のの税収が見込まれている)。

質疑応答について。

Q 初年度は当初予算?
A はい。

Q イベント宿泊も課税?
A 登録していないところは対象としていない。

Q 議会で反対はあった?
A なかった

Q 会派からの意見は?
A 病院の付き添いの場合に減免できないかという意見はあった。

Q 県庁との連携は?
A とっていない。検討にあたり通知したが、回答なし。

Q パブコメに反対意見とはだんな内容?
A コロナの最中、痛手を被っている中で議論するのはどうかという意見

Q 県でも導入することになったら?
A 今のところ議論はない。把握していない。

Q 観光の磨き上げに庁内に新たな組織をつくった?
A 既存

Q DMOは外部?
A 外部団体だが、職員は入れている

Q 電子マネーは対応している?
A 各事業者に任せている。

Q 外国人の支払いは?
A 日本円にして払ってもらっている。

Q システム開発の委託は大手企業?
A 地元システムメーカー

Q アドベンチャートラベルへの使途はある?
A DMOが行っている。ATは使途の対象となっている。

Q 免税の手続き方法は?
A 今のところ紙で宿泊施設に提出。

Q 緊急時対応積立金について。例えばコロナが始まって国が対応してくれない時などに使う?
A 需要喚起のきっかけとなる取り組み用にも使う。

ところで、滞在していた宿泊事業者の方に、「宿泊税が導入されたことで何か変わりはありましたか?」と質問したところ、「特に混乱もなかったです」との回答でした。

観光振興税について今後道議会で議論をする上での貴重な情報となりました。急な訪問にも関わらず対応していただいたこと、そしてかなりのボリュームの質疑にもこたえていただいた長崎市の担当課のみなさまに心より感謝申し上げます。