第19回全国地方議員交流研修会in九州・長崎 分科会
第19回全国地方議員交流研修会in九州・長崎、2日目は分科会が行われました。わたしが参加したのは『子供の貧困問題と後退する社会保障』でした。
問題提起は長崎大学教育学部の小西祐馬准教授。このような内容でした。
・子どもの貧困率は2012年ころにピーク。このころからクローズアップされてきた。
・相対的貧困について。同じ国の他の人と比べて生活が厳しく、修学旅行に行けない、香典代がなくて葬式に行けないなどで、等価可処分所得の中央値の50%が貧困ライン。
・絶対的貧困は1日2ドル以下で生活というのが国連の指標
・母子世帯の貧困は世界でワースト5。ひとり親貧困率が10%台にならないとまともな状況と言えない。
・日本全体の貧困率は下がっているが、地方では高い。また、物価高に追い付いていない。
・長崎では住宅問題は大きい。交通の便の悪いところにしか市営住宅がない。
・母親の貧困とメンタルヘルスが結びついている。子どもがケアに回っている。
・お金がない子どもについて。早い段階で勉強ができないと認識する子どもが増える。
・貧困家庭では体験、文化が不足している。家の中に新聞も図鑑も事典もない。勉強する必要がないと思い、自己肯定感が下がる。安定した仕事よりはいまできる仕事を求める。孤立、排除、支援や社会保障からの排除につながりそれを支える家族も頼れない。いわゆる貧困の連鎖、世代的再生産が起こる。
・貧困が他の問題と複合化したケースについては、支援する側も連携して対応することが大事。
・非課税世帯に7万円では解決できない。継続的に支給する必要がある。
次に事例報告が行われました。
「沖縄県と糸満市に於ける子供の貧困の現状と課題」伊敷郁子糸満市議会議員
・糸満市では所得が低く、離婚率が高く、ひとり親世帯が多い。ヤングケアラー、若年出産の数が多い。生活保護には至らないまでも貧困世帯が多い。
「郡山市に於けるヤングケアラーと子ども食堂の実態と課題」郡山市議会議員
・こども食堂の取り組みについて。郡山市ではすべての子どもの健やかな成長のため、細やかな支援に努めるとされており、今年度から子ども食堂への食材購入費について、実績報告をもとに10万円を支援している。
非課税世帯に一時金ではなく、継続的な給付、給付の基準を上げていくことが必要という点について、会場の中から多くの賛同する意見が上がりました。貧困が連鎖する現状は、貧困を自己責任とするには無理があることを示しています。連鎖をストップする政策を進めることが最終的な社会全体の利益につながると考えるなら、施策の推進にあたり多くの方の理解を得られるのではないかと思います。