第19回全国地方議員交流研修会in九州・長崎

第19回全国地方議員交流研修会in九州・長崎が10月31日・31日の日程で開催されました。当初は8月に予定されていたところ台風により延期となりました。北海道からは北口雄幸共同代表をはじめ民主・道民連合から6名の議員が参加しました。全国地方議員交流研修会は、ときどきの内外情勢や全国の各自治体で焦点になっている政策課題について政治的立場を超えて交流、研修する場として2003年から毎年開催されています。今回は被爆地長崎での開催ということで「戦争に反対し、核廃絶と東アジアの平和と共生」が研修内容の基調となっていました。

実行委員長共同代表の藤本眞理子和歌山県議会議員より開会あいさつ、長崎県実行委員会代表堤典子長崎県議会議員より歓迎挨拶、大石賢吾長崎県知事、玉城デニー沖縄県知事、徳永達也長崎県議会議長、髙藤義弘日本労働組合総連合会・長崎県連会会長、米村豊長崎県平和運動センター議長より来賓挨拶がありました。

挨拶に続き、東アジア共同体研究所長・元外務書情報局長の孫崎亨さんより「長崎からアジアの平和を展望する」と題し、記念講演が行われました。このような内容でした。
・正しいために戦争するのではない。いかに犠牲者を出さないかを世界平和の中心にもってこなくてはならない。
・平和憲法はマッカーサーの押しつけというのは誤り。幣原喜重郎が、憲法に(平和憲法の)条文をいれる努力をしたいとマッカーサーに相談に来たことによるものである。
・核の傘という言葉があるが、物理的に防ぐ傘はない。
・中小国が核兵器を使ったら国は抹消される。核を使わせないようにするには、その国の存続の危機を与えないことを約束すること。多くの場合は行っていない。
・ロシアが侵略するする前に戦争を回避することは可能だったかもしれない。ロシアは領土の拡大を望んでいるのではなく、自国の安全のために行った。このこと言ったのは安倍元首相だが、日本では報道されていない。
・戦場で戦争は決着しない。テーブルで交渉するしかない。
・ドイツが統一されたとき、1990年にNATOは1ミリも東方に拡大しないと言った。しかし、2021年に拡大に動いた。
・日本は第2次世界大戦で中国に多額の賠償を払うところ、様々な取引が行わてた中、台湾は中国の一部だと認めるという形で終わった(1972年に日中共同宣言が出され、「中国は台湾が中国の領土の不可分の一部であることを表明。日本は中国の立場を理解し尊重する」と声明が出されている)。しかし、あたかもそのような約束がないように報道されている。
・日本は驚くほど情報統制されている。
・台湾有事という言葉があるが、台湾人は独立か、中国と併合か、現状維持かという問いに7割が現状維持と答えている。
・日本人は家臣でいいという考え。例として『侍』『新選組』。この国は自主性がない。
講話の後半で、安倍元首相の発言やドイツ統一の際のNATOのことなどいくつかの項目について、このことを知っている人いますか?と会場に問う場面がありましたが、いずれも少数の方が手をあげるのみでした。わたしたちは普段ニュースや新聞などで情報を得ていますが、見えていない側面がありそうです。戦争をする動機をつくらせないための平和外交の方がより実効性のある抑止力になるという考え方は大いに説得力があると思います。

記念講演の後、特別報告がありました。
・「沖縄を再び戦場にしない」 遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表 具志堅隆松さん
・若者による長崎からの平和メッセージ 高校生平和大使派遣委員会 猪原彩美さん
・被爆体験者の全面救済に向けて 被爆体験者訴訟原告団長 山内武さん/長崎県議会議員 坂本浩さん
・基地強化が進む全国各地からの実態報告 長野広美西之表市議会議員/中川義行宮崎市議会議員/守永信幸大分県議会議員/永田秀人佐世保市議会議員/姫野敦子岩国市議会議員/大波修二大和市議会議員
・沖縄県の地域外交 山内末子沖縄県議会議員

ボリュームが多いのでいくつか内容をお伝えします。

沖縄を再び戦場にしない
・遺骨を家族に戻す活動をしているが、当時各分隊で認識票を取り上げられていたらしく、身元がわからなくて困難。
・戦没者が眠る激戦の南部の土が辺野古の埋め立てに使われている。
・旧日本兵はみなさんの先輩であり、やめるよう議員会館で交渉したところ、だれも反論できなかった。

被爆体験者の全面救済に向けて
・原爆の被害は爆心地から同心円状だが被爆認定については行政区での線引きで非科学的(爆心地から12km以内にもかかわらず長崎市でない人などが被爆者認定されていない)。
・「被爆体験者は被爆者」だと掲げ、現在も係争中。広島では黒い雨訴訟で勝訴が確定したが、長崎は除外されている。

沖縄県の地域外交
・沖縄の文化は中国や東アジアと似ている。これまで地理的な点から、経済・文化・政治すべてにおいて交流してきた。なので沖縄が戦争を止める原動力になる。
・辺野古の埋め立てはまだ15%。予算9500億円中すでに4500億円使っている。
・辺野古埋め立ての裁判について、国は国益に反すると主張したが、玉城知事は沖縄の公益に反すると弁論。
・沖縄の問題は地方自治全体の問題。

新しい戦前という言葉に表されるように、世界の情勢は不安定さを増しています。平和を維持するにはどうすればいいか、どのように戦争を回避し持続可能な発展につなげていくか、改めて考える充実した研修となりました。