パラオ視察報告 3日目

3日目
・パラオ国民会議
・モデグゲイ高校
・パラオ国立病院
・パラオ政府観光局

パラオ国民議会

下院と上院の2院がある。下院は16名(各州1名ずつ)、上院は15名。OEK(Olbiil Era Kelulau、パラオ語で「ささやきの部屋」)と呼ばれている。
上院と下院の二院制で、任期はいずれも4年間。上院は大選挙区制で議員が選出され、議席数は15議席。下院は小選挙区制で全16州から1名ずつ議員が選出され、16議席。パラオ社会には、伝統的な酋長制度が残っている。酋長は伝統的習慣の維持や土地利用などに一定の影響力を持っており、中でも、北部大酋長(マルキョク)と南部大酋長(コロール)は、特に権威がある。

ギブソン・カナイ パラオ共和国下院議長からの挨拶
私の父の名前は、父が教わった先生がカナイ先生だったのでそこからいただいてカナイになった。日本に親近感を持っている。今後のさらなる日本との交流拡大に期待する。

村田会長からの挨拶
私たちは北海道のパラオ友好議員懇話会。札幌医科大学との交流が行われている。これから交流を密にして関係を強固なものにしたい。よろしくお願いします。

国民議会に行く途中、入口付近の路上でボードを掲げる人たちがいた。人数は20~30名程度。年齢層は子どもから大人まで広範。ボードには「NO DRUG」と書かれていた。アンダーグラウンドで違法薬物が蔓延していることが示唆されるが、公式訪問ではこの点について触れることは難しい。子どもが参加しているのは啓発活動のため。日本で行われる交通安全運動のような活動で、政治に何かを訴えるデモのようなものではないとのこと。

 

モデクゲイ高校

モデクゲイ高校はバベルダオブ島西部にある私立の高校で中学3年生〜高校3年生までが通う。生徒は24名で、3人ずつ寮で暮らしている。
青年海外協力隊として昨年7月末から来年3月まで福井県藤島高等学校より鈴木聡史さんが派遣されており、理科の授業や実験などを行っている。
モデクゲイ高校と北海道の星槎国際高校は今年5月、英語の時間に交流授業を実施する予定である。
モデクゲイ高校の概要説明、校内視察、生徒との意見交換が行われた。

概要説明
モデクゲイ高校の生徒は24名、全寮制。離島から来る生徒が多い。授業の1限目から6限目が国語、英語、数学、社会、理科などアカデミックと呼ばれる授業、7限目が漁業や編み物など実業系、8限目が体育。日本と違うのは休み時間の設定。5分くらいしかないので、緩やかに終わって緩やかに始まる。日本では毎日違う科目(週ごと)であるが、ここでは1限目から毎日同じ科目。1920年ころにモデック教が伝わり、年10回行事が行われる。生徒も豚やウミガメをさばいたりして手伝う。生徒の自立に重きを置いている。

村田会長の挨拶
私たちは日本パラオ友好北海道議会議員懇話会。北海道の星槎高校では世界に通じる多様な人材育成を行っている。貴校との交流に賛同し、感謝する。パラオと日本には時差がない。パラオと北海道の縁をさらに強くしていきたい。校長先生にお力添えをいただきたい。

校内視察
教室はそれぞれの科目ごとに部屋があり、生徒が移動する。このときは数学の授業が行われていた。
生徒の寮は日本の支援で建てられ、日本の国旗が記されている。建物が傷んできている。
理科実験室は日本からの支援で建てられた。メスシリンダーなどの器具にも日本の国旗が記されている。顕微鏡が準備されており、かぼちゃの茎の細胞やケンミジンコなどを観察することができた。日本から5台顕微鏡が寄付された。醤油の結晶をつくる、紙でインクを吸い上げる(クロマトグラフィー)などの実験を行った。鈴木教諭は物理の専門で、ペーパーポスターをつかって球をどれだけ遅く落とせるか装置を生徒が制作した(ピタゴラスイッチのようなものだった)。

移動中の雑談
生徒は富裕層というわけではない。学費は国からの補助。全寮制で朝昼は給食。土日は休み。

Q)先生の任期は?
A)1年8か月から9か月

Q)定期試験はある?
A)ある。単位が必要

Q)卒業後の進路は?
A)パラオコミュニティカレッジ、アメリカの大学など。

Q)日本とのオンライン交流は?
A)星槎高校が初めて。わたしは福井出身なのでできれば福井県とも交流したい。

Q)私立高校のほうがやりやすい?
A)公立でもいまは探究学習の時間を活用できる

生徒との意見交換
パラオでは野球が人気のスポーツで、明日は山根議員がパラオの子どもたちに野球を教えるということについて話がひとしきり盛り上がった。

Q)お休みには野球以外でどんなことをしている?
A)バレーボール、バスケットボール、スピアフィッシング、タロイモの作業など

Q)日本のどんなところに興味がありますか?
A)寿司、車、アニメなど

Q)将来の夢は?
A)電気技師、レンジャー、海洋生物学、機械技師、警察、法律

パラオ国立病院

札幌医科大学では、2025年3月から、PWJの協力のもと、パラオ人の医師1名を臨床修練医として受け入れている。意見交換の後、院内を視察した。

応対者 ダーネル・ウォースウィック パラオ国立病院事務局長
ジェイソン・カレイ・アルラン パラオ国立病院医師
青木 恒憲 JICAパラオ事務所長
安間 叙通 ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)パラオ事務所代表
濱野 晃司 診療放射線技師(PWJからパラオ国立病院へ派遣)

ダーネル・ウォースウィック パラオ国立病院事務局長の挨拶
ようこそ、ベラウ国立病院にお越しくださいました。本日は北海道に研修に行った麻酔科の医師のドクター・アルランも同席させていただいた。

村田会長の挨拶
本日は訪問を受け入れていただき心より感謝申し上げる。札医大での画像診断の研修の知識をパラオでどのように活用しているか教えていただきたい。

質疑応答
複数から回答があったものもある。
Q)他の地域の医療機関について(離島医療について)
A)パラオ全体で9か所。医師がおらず、看護師だけの診療所もあり、月1回巡回している。

Q)遠隔医療は?
A)行っていない。離島の医療は課題である。

Q)生活習慣病は深刻?
A)はい。成人の40%以上が高血圧、糖尿病。予備軍を入れると7割。

Q)脳梗塞や心筋梗塞への画像診断の有用性について
A)心筋梗塞と脳梗塞で使う。CT、レントゲン、MRI。

Q)当初からだいぶん変わったか?
A)画像診断のレベルアップを図っている。

Q)小児科が弱いと聞いているが、どの分野が弱い?
A)内科と歯医者。

Q)弱い部分をサポートしたいが?
A)札幌で勉強したことを説明してくれと頼まれたのでお話しさせていただく。ダイナミックCTを行った。時間経過を追って見ることができる。血管造影も。MRIも増えた。診断ツールの有用性が認識された。勉強してきてよかったと思う。

Q)薬は手に入る?
A)薬局はあるので、処方可能。薬が限られているので、処方できないのでなければ待つしかない。パラオの中ではここの薬局が安い。プライベートの病院で診てもらって、ここにくるケースが多い。吸入薬、プライベートだと20ドルだが、ここだと5ドル。
A)薬はアメリカから入る。
A)1か月しか処方できない。なので離島は大変。

Q)医療保険について
A)所得によって医療保険の値段が変わる。ここは制度が使えるので5ドル。収入が少ないと10%。すべての薬は6ドル。

Q)CTとMRIについて。
A)専門医が少ないので、どの患者にも限界がある。フィリピン、台湾、ハワイに行って治療する。ハワイと台湾とは友好関係にあり、定期的に医師が来る。日本の歯科医は年1回来る。血管撮影(アンジオグラム)について、保険基金でプログラムを購入した。これまでは検査のためだけに海外に行っていたが、これからはここでできるようになった。
A)ほとんどの心臓疾患は検査できなかったが、今はできるようになった。大幅に節約できる。やまなおや医師はアンジオグラムのテクニシャン。トレーニングのために呼ぶのがお金かかる。
A)JICAで支援している。
A)1回で3万ドルかかる。画像診断はMRIでi300〜400ドル。日本だと1500点、4500円くらい。

院内視察
CTやMRIなどの設備があり、日本の国旗が記されていた。日本では見られないような形状のものもあった(ハンバーガー型のMRI)。体のサイズで入りきれない患者もいるとのこと。

佐賀県から来た理学療法士の方と話をすることができた。佐賀大学医科部付属病院との連携が進められている。パラオでは現在、理学療法士の資格を海外で取得して戻ってくるという状況にある。

JICAの支援により、一般病棟とは離れた別棟の自立型ICUが設置された。4床で、すべて作業できる。看護ステーション、汚物廃棄室などがある。透析やデング熱の隔離病棟として使用するが、人手不足でナースが常駐できず、現在はトレーニング施設として使っている。

移動中の雑談
パラオでは、タロイモや魚などを主とする従来の食文化が続いていた時代は肥満などの生活習慣病はあまり見られなかったが、急速にアメリカの食文化が入ってきたことにより肥満になる人が増え、脳梗塞や心臓疾患の患者増につながった。そのため、画像診断の必要性が高まったことが背景にある。

在パラオ日本国大使館
パラオ政府観光局長との意見交換を行った

村田会長からの挨拶
昨日はペリリュー島、今日は国立病院、高校を訪問した。パラオと北海道はもっと強い絆で、観光分野でもお付き合いをしたい。

ルルケド・カドイ 政府観光局長からの挨拶
昨日の朝、空港でみなさまを見かけた。9日に東京にいて、帰ってきたところ。池袋でマリンダイビングフェアに参加し、東京の大使館で新しいパラオ観光局と会議を行った。2年間、パラオ観光局が閉鎖されていたが、4/1から日本事務所が再開された。もしよろしければ村田さんのアドレスをシェアしたい。

質疑応答

Q)オーバーツーリズム対策について
A)2021年から少しずつ増加しているが、韓国からの旅行者は戻っていない。今のところオーバーツーリズムになるような状況にはなっていない。16の州があるが、ほとんどがコロール州に観光客が集中しており、分散させるのが課題。

Q)教育旅行に平和学習は重要である。ゼロ戦や戦車が放置されていたが、このままでは朽ち果てる。管理について。
A)行政には話し始めている。しかし、すでにツアーに組み込まれているので改善が難しい。

Q)マラソンなどスポーツ旅行について
A)サイクリングレース、トライアスロンを毎年開催している。

Q)戦時中の歴史とダイビング、長期間ゆっくり過ごせるツアーは富裕層のリゾートとして広範囲に誘致できるのではないか?(アドベンチャーツーリズム)
A)プログラムがある。ホテルで開催しており、2年目である。シニア向けツアーも誘致している

Q)ホテル等のキャパについて
A)360人ほどの教育旅行を受け入れるツアーは難しい。ペリリュー島にそれほどボートはない。バスは2台しかない。(ホテルは米軍が工事のための長期滞在で埋まっている)

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