■GIDクリニックについて(令和2年3月17日)

令和2年第1回予算特別委員会第1分科会 道立病院局所管(3/17)

◆(渕上) 通告に従い、質問してまいります。
第4回定例会の予算特別委員会の中でGIDクリニックについての質問をしましたが、道立病院での対応は困難との答弁がありました。しかし、GID当事者にとって、特に若者にとって、自分の体が望まない性になっていくのは余りにも絶望的です。
針間克己、石丸径一郎の精神科治療学の「性同一性障害と自殺」によると、性同一性障がいの人の自殺念慮は62%、自傷行為は16.1%、自殺企図は10.8%と言われています。私もその中の1人です。
自殺率については、最後までカミングアウトしない例も相当数あると思われることから、直接のデータをとることは困難ですが、自殺総合対策大綱の中でも性的マイノリティーの自殺率が高いことが指摘されています。
道立病院局は、私たちが診てもらえない深刻さをどのぐらい認識しているのか、お伺いいたします。

◎(笹谷病院経営課長) GIDクリニックの現状についてでございますが、性同一性障がいの治療には高度な専門性が求められますほか、精神科や産婦人科、泌尿器科、形成外科などから成るチーム医療が必要とされておりますことから、対応可能な医療機関は全国でも6カ所と限られており、道内では札幌医科大学附属病院のみとなっております。
現在、札医大のGIDクリニックは、初診の予約受け付けを延期していると承知しており、診療をお待ちしている方々が相当数いるものと認識しております。

◆(渕上) 私たちの深刻さの認識を聞いているのですよ。私たちの心に寄り添った答弁をする気はなかったのでしょうか、お伺いします。

 

◎(笹谷病院経営課長) GIDクリニックについてでございますが、現在、北海道で唯一のGID学会認定施設でございます札幌医科大学では、初診の予約受け付けを延期しており、診療を心待ちにしている方々が相当数いるものと考えてございます。

◆(渕上) 私たちの心に寄り添う気はないのですか、お伺いします。

◎(笹谷病院経営課長) GIDについてでございますが、そうした方々につきましては、診療を心待ちにしている方々が相当数いるものと考えてございます。

◆(渕上) 道立病院局では、できるかどうかは別にして、私たちを診察したいという気持ちが少しでもあるのか、全くないのか、お伺いいたします。

◎(笹谷病院経営課長) GIDクリニックの設置についてでございますが、GIDクリニックは高度な専門性が求められますほか、精神科だけではなく、複数の診療科によるチーム医療が必要とされておりますため、対応可能な医療機関は全国でも数カ所に限られており、道立病院でのクリニック設置は困難な状況にございます。

◆(渕上) できるかできないかではなく、やりたい気持ちがあるのかどうかを聞いています。お伺いします。

◎(笹谷病院経営課長) GIDクリニックの設置に関する再度のお尋ねでございますが、ただいま申し上げましたとおり、GIDクリニックは高度な専門性が求められますほか、精神科だけではなく、複数の診療科によるチーム医療が必要とされておりますため、道立病院での設置は困難な状況にございます。

◆(渕上) 気持ちをお聞かせください。お伺いいたします。

◎(笹谷病院経営課長) GIDクリニックの設置についてでございますが、道立病院での設置は困難な状況にございます。

◆(渕上) 未成年者のGID当事者がインターネットでホルモン剤を入手し、投与する事例が多発していると聞いています。本来なら適切な診療のもとで投与すべきですが、それがままならない状況ではやむを得ません。GID学会認定医ではなくても、どのぐらいの用量が適量かなどについての情報提供や、血中のホルモン濃度を測定する処方箋を発行することぐらいはできると思いますが、お願いできないでしょうか、お伺いします。

◎(石井人材確保対策室長兼医療参事) GID学会認定医以外の医師による診察についてでございますが、性同一性障がいが疑われる患者さんが道立病院を受診された場合には、問診や身体診察などの基本的な診療を行いつつ、本人への精神的サポートに努めることが必要と認識をしてございます。
診察の結果、求められる診療内容が医師の専門外に及ぶ場合におきましては、保険医療機関及び保険医療養担当規則にのっとり、専門的な診断や治療が行える医療機関を紹介し、必要な医療が受けられるよう対応してまいる考えでございます。

◆(渕上) 私は、GIDが原因で精神疾患となって通院していたことがあります。何度も受診しましたが、症状が緩和されることはありませんでした。
しかし、別の病院でホルモン投与を開始したことで、ストレスが大幅に減少し、完治しました。今、私がここにいられるのは、本当に患者のことを思って手を差し伸べてくれた医師たちがいたからです。
医師がガイドラインを守らなければいけないのは理解します。どうしてもガイドラインに沿った認定医でなくては診療できないのであれば、少なくとも、認定医を確保するための積極的な努力をしていただきたいと思います。
GID学会認定医になることを希望する医師がいないということでしたけれども、希望する医師があらわれることを待っているだけでは、いつまでたってもあらわれません。道立病院局が、積極的に医師一人一人に働きかける必要があるのではないでしょうか。
まずは、学習会などを開催することで、医師に関心を持っていただくことを提案します。所見をお願いします。

◎(石井人材確保対策室長兼医療参事) 医師への啓発についてでございますが、道立病院に勤務いたします医師には、各病院の役割に応じて、それぞれ専門といたします診療領域の専門医資格や、精神科病院での勤務に必要不可欠な精神保健指定医等の資格の取得及び更新が求められますため、これらの資格取得や更新に必要な学会や研修会への参加に対する支援を行っております。
GIDに関する学習会などの開催につきましては、道立病院には認定医等の専門家がおりませんこと、また、各病院が分散しているため効率的な開催が難しいことなどから、道立病院局が主催をして開催するということは困難と考えておりますが、道内外で開催されますGIDに関する学習会や研修会に参加を希望する医師がいた場合には、積極的な支援を行ってまいる考えでございます。
以上でございます。

◆(渕上) GIDクリニックの設置に向け、まずは、道立病院局内でチームを立ち上げることを提案します。所見をお伺いします。

◎(田中道立病院部長) GIDクリニックの検討についてでございますが、道立病院におきましては、本年3月現在で、5病院合計で常勤医師が18名の欠員となるなど、医師を初めとする医療従事者の確保が課題となっているところでございます。
また、各道立病院におきましては、現在担っている医療機能を地域の実情に応じて維持をしつつ、新型コロナウイルスなどの感染症対応や在宅医療など、新たな課題への対応も求められているところでございまして、こうした中で、GIDクリニックを専掌するチームを設置することは困難な状況にございます。
GIDの診断や治療を行う医療機関をふやすためには、医療保険適用の課題解決などにより、GID治療を一般的な医療へと浸透させ、学会認定医や専門知識を有する心理職などを全国的にふやす取り組みが重要と考えております。

◆(渕上) 月に1回でも、専門医を外部から招聘してGIDの診療を行うことができないか検討していただきたいと思います。所見をお願いします。

◎(鈴木病院事業管理者) GIDの診療についてでありますけれども、道立病院は、医師や看護師など医療従事者の確保が大変厳しい状況において、公立病院として公共性の確保と経済性の発揮に努めながら、広域的な医療や精神科医療、小児高度専門医療などの役割を担うことが使命となっており、全国的にも数が少ないGID学会認定医の確保など、高度で専門的な技術水準が要求されるGIDの診療は難しいものと考えているところであります。
道立病院局としては、今後も、道立病院を受診された患者さんの中で、性別違和感などの傾向が察知できた場合には、患者さんの悩みに向き合い、必要な精神的サポートを行うとともに、専門的な診断や治療が行える他の医療機関を紹介し、必要な医療が受けられるよう対応してまいる考えであります。

◆(渕上) 残念ながら、いずれもけんもほろろな答弁でした。
GIDクリニックを設置するまで私は絶対に諦めません。
以上で質問を終わります。