鳥取県・隠岐の島町・大阪視察 3日目
鳥取県・隠岐の島町・大阪視察3日目は隠岐の島町。テーマは
・ジオパークについて
・竹島について
の2点で、それぞれの担当との意見交換を行いました。流れは鳥取県のときと同様です。訪町に際し、町議会の安部議長、北海道出身の菊地議員に同席いただきました。
ジオパークについて
説明 隠岐ジオパーク推進機構 野邉業務執行理事
隠岐諸島は、島根半島の北40kmから80kmの日本海に点在する4つの有人島と180余りの無人島から成り立っている。かつては国立公園としての雄大な海岸風景や、後鳥羽上皇・後醍醐天皇が配流された歴史的背景により観光地としてにぎわっていたが、観光客のニーズの変化や公共事業の減少などにより、地域経済の厳しさに直面してきた。その中で始まったのが、ジオパークを活用した地域づくりである。
隠岐ジオパークの活動理念として印象的だったのは、「子どもたちが隠岐に生まれ育ったことへの誇りと愛情を持って『隠岐の出身』だと言ってもらいたい」「島民が隠岐の価値を知り、誇りを持って『隠岐』を伝えてもらいたい」という考え方である。
隠岐ユネスコ世界ジオパークには、「大地の成り立ち」「独自の生態系」「人の営み」という3つのテーマがある。キャッチコピーは「つながりを見つけよう!」。地質、植物、歴史、文化、人々の暮らしを別々に見るのではなく、それぞれがどうつながっているのかを学び、伝える取り組みだ。
特に参考になったのは、教育との連携である。小中学校への講師派遣、教育プログラムや学習帳の作成、高校でのジオパーク学習、海外交流など、子どもたちが自分たちの地域を学ぶ仕組みがつくられている。また、認定ガイドの養成、認定商品制度、観光協会との連携、ビジターセンターの整備など、観光振興や地域経済にもつながる取り組みが進められている。
隠岐ジオパークが目指す地域循環モデルでは、地域の遺産を失わず、価値を高めながら将来へ引き継ぐこと、そして活用は消費ではなく「未来への投資」であると示されている。
こちらから事前に送った質問は説明の中に含まれました。
1 利用状況について
2 認定への取組について
3 町民との活動等について
4 隠岐の島町の観光施策について(PR、ガイドの育成、インバウンドへの対応など)
5 他の文化財と連動した取組について
6 ジオパークに来訪する方の交通の確保について
7 まちづくりへの活用について
8 小中学校等や研究機関との連携について
質疑応答
Q 交通政策について。
A 島間を船で移動するのに周遊パスがある。欧米系はE-Bikeを使う。レンタカーなどは使わない。路線バスを使った周遊を紹介している。道路に普通に牛などがいる。そこをE-Bikeで走るのも魅力。
Q 研究で新たな発見が出ることもあるが、研究予算は積んでいるのか?
A 職員に研究費用を渡している。なぜ北海道と沖縄の植物が一緒に生えているか。研究しつくされたと思われていたが、アイルランドと隠岐にしかないキノコなど新種が発見された。
Q 日本列島の成り立ちについて。日本列島はアジアから離れたが、隠岐は?
A 途中まで日本列島と一緒だった。そこからおいてけぼりになった。日本列島とはちょっと違う。隠岐は出てくる素となる地質が違う。粗面岩は隠岐にしかない。なぜヒマラヤにしかいない昆虫がいるかについて、大陸性の地質が影響して大陸性の植物が生育することが要因である。
Q ふるさと納税について
A JALと連携して旅先納税を行っている。
Q Entoホテルは民間か?
A 島根県の補助を受け、町役場が建設し、運営を委託している。Entoを建てるとき、ジオパークに振り切るのがいいのか議論があったが、振り切った。
竹島について
北方領土問題を抱える北海道としては、同じく隣接国との領土問題を有する島根県と共通する課題があります。北方領土対策委員会の副委員長の立場であることもあり、隠岐の島町の取り組みを視察することは重要であると考え、今回のテーマの一つに選びました。
説明 隠岐の島町危機管理室・竹島対策室柳原室長
竹島は隠岐諸島の北西約158kmに位置し、女島・男島などからなる群島で、江戸時代から隠岐の人々がアワビやアシカ漁、木竹の採取などで利用してきた歴史がある。1905年には、島根県告示により日本領として編入され、隠岐島司の所管とされた。
一方、戦後のサンフランシスコ平和条約においても日本領として扱われたが、韓国は1952年に一方的に李承晩ラインを設定し、その内側に竹島を取り込んだ。その後、警備隊の常駐や施設整備などを進め、不法占拠が続いている。これにより、竹島周辺海域での漁業は大きな制約を受け、暫定水域における漁業秩序の確立も課題となっている。
隠岐の島町では、政府に対し、竹島問題の解決、海上警備体制の強化、暫定水域での漁業秩序の早期確立を求めている。また、竹島資料室の設置や「竹島の日」の取り組み、竹島海鮮カレーの販売などを通じ、住民理解の促進や若い世代への啓発にも力を入れている。
こちらから事前に送った質問について、資料を作成していただきました。
1 町内ではどのような活動が行われているか
・竹島資料収集施設「久見竹島歴史館」の運営
・竹島問題を考えるバスツアーの実施
・ヒャクシンを活用した啓発。明治時代後期に、鬱陵島で木材の売買やイカ漁に携わった隠岐島民が持ち帰ったとされる。
・竹島領有権確立運動隠岐の島町集会の開催
・竹島啓発ポスターの作成
・商品開発による周知。竹島海鮮カレーなど
2 町民の反応や熱量について
平成18年度から実施している島根県政世論調査によると、竹島問題への関心度は、令和7年度で62.8%。県全体では例年60%台から70%台で推移している。
隠岐地域では64.6%で、県平均とほぼ同様の状況にある。
3 漁業者の声や対応状況について
・巡視船が少ない。
・韓国漁具を拾って帰る必要があり、ゴミ処理に費用や労力がかかる。暫定水域で網をそのままにしているため、カニが網にかかって死んでしまう。ゴミが漂流物となり、速度を出すと危ないため、操業に支障が出ている。
・国民の関心が低く、領土問題であることが十分に伝わっていない。
・外交トップに強く発信してもらいたい。
4 若年層への啓発活動について
・平成元年に「ふるさと隠岐」を作成。竹島に関する記述を抜粋して掲載。平成21年に「竹島副教材」を作成。県内すべての学校で学習を実施。
・竹島・北方領土問題を考える中学生作文コンクール。島根県の中学生が、竹島や北方四島の歴史と現実に関心を持つことを目的に実施。領土問題を正しく理解し、竹島・北方領土問題を解決しようとする意欲を高めることを目的としている。
・隠岐高校での特別授業。
5 他都道府県との連携について
令和4年11月に、根室高校の生徒が隠岐の島町で出前講座を実施。令和6年3月に、根室JCが隠岐の島町で出前講座を実施。令和6年10月に、隠岐高校と根室高校の交流事業で意見交換会を根室市で実施。
6 国への要請と対応状況について
・竹島領土権確立隠岐期成同盟会による要望活動を実施。
・令和7年度の要望内容
内閣府に竹島を所管する組織を設置すること。
隠岐島に「竹島漁携歴史記念館」を設置すること。
暫定水域における漁業秩序の確立を図ること。
国境離島における国防体制の強化を図ること。
学校教育における竹島に関する学習の強化を図ること。
・学習指導要領において、竹島が取り上げられている。
7 韓国との交渉状況について
町は韓国と直接交渉を行っていない。竹島問題は国家間の問題であり、主権国家間にまたがる領土問題であるため、解決には日本政府の基本的姿勢を国内外に強く示す必要があるとの考え。島根県は1989年に慶尚北道と姉妹提携を結んだが、2005年に「竹島の日」を定める条例を制定した際、慶尚北道から一方的に提携解消を告げられた。
しかし県は現在も友好交流自治体として、ホームページ上で慶尚北道を紹介している。
8 SNS等で過激な発言や行動をする人への対応について
感情的な電話が多い。感情に配慮して傾聴している。対応ができないときは曖昧な回答をしない、即答しない。
質疑応答
Q 県民大会には北海道からの参加はあるか?
A 確認していないが、議員も来ている。
Q 自衛隊や海保の動き、防衛予算、町は見回りなどしているかについて?
A 海保は巡視している。小型なので、大型を要望しているが、小型の方が小回りが利く。町の見回りはしていない。
Q 国への要請は進められているのか。また、国際社会に伝えることが重要であり、英語、韓国語版、やさしい日本語版などはあるか?
A 英語版と韓国語版に向けて取り組んでいる。
Q 漁業者の証言を資料館や学校教育にどのように反映させているか。例えば、竹島安全白書を更新するなど。
A 住民の方3名が解説員になっている。安全白書は作っていない。
Q 観光との結び付けについて。バスツアーはどのような方が参加しているか。歴史観をどのように伝えているか。
A バスツアーは竹島に関心のある方が参加している。4回開催され、定員オーバーで申込が来る。観光資源の再発見という意味で。観光と歴史観、本町の状況を知ってもらうために竹島歴史館を行程に入れていただきたいと考えている。
鳥取県と同様、たくさんの事前の質問及び質疑応答にもかかわらず、ていねいにご対応いただいた各担当のみなさま、そして同席いただいた安部議長、菊地議員に心より感謝申し上げます。


