ラウンドテーブル「北海道のHIV/AIDSの感染状況・検査の実情」
HIVに関する学習会ラウンドテーブル「北海道のHIV/AIDSの感染状況・検査の実情」に参加しました。最近HIVの話をあまり聞かないという方も多いのではないかと思います。あるいは、30年ほど前の映画やドラマなどで取り上げられていたような『死の病』のイメージを持っている方もいらっしゃるでしょう。
HIVに関する医療は以前より大きく進歩し、現在では適切な医療を受けることで検出限界以下まで抑え込むことができます。検出限界以下になれば日常生活どころか性行為でも感染しないことが知られています。このことをU=Uと表現します(Unditectable=Untransmittable)。知識のバージョンアップが求められており、このために用意されたのがユニークな形をした『あたまでっかち解消ボックス』。HIV/AIDSに対する誤解や思い込みと正しい情報を映像で解説する体験型ツールです。中に入るとHIV陽性者の視点で自分や周囲の思い込み(あたまでっかちな状態)が周囲のモニターに映し出され、後半はその誤解が解消されるという内容のストーリーが描かれています。
北海道大学病院血液内科の遠藤知之准教授による講演「知っていますか?HIV/AIDSのこと」の後、各団体によるパネルディスカッションが行われました。この中でいくつか気になった点についていくつか書きます。
・投薬に1日7000円ほどかかるため、障がい者手帳を取得しないと治療は現実的ではない。しかし、血液検査の結果が悪化するまで取得できず、陽性と判っても治療を開始できないという問題がある。
・『いきなりエイズ』について。エイズの症状が出て初めてHIVに感染していることがわかること。北海道ではこのような例が多い。
・コロナワクチンの接種を拒否される事例がある。
・他の性感染症で受診の際にHIV検査をすることで早期に発見できる。
・HIVに感染しても日常生活を送り、寿命を全うすることができるようになったとはいえ、差別や偏見は根強い。就労・地域医療・介護が今後の課題である。
主催のギリアド・サイエンシズ株式会社のみなさま、はばたき福祉事業団のみなさまの熱心な取り組みと働きかけにより今回の学習会が実現されました。この学習会を通じてHIV/AIDSをとりまく様々な課題を把握することができました。心より感謝を申し上げます。