第1回定例会最終日
第1回定例会が終了しました。予算特別委員会での今年度予算案について、わたしたちの会派から組替動議が提出されました。内容は次の通りです。
1 知事の政治姿勢について
新型コロナウイルス感染症がいまだ終息しない中での予算編成である。看板政策である「ゼロカーボン北海道」や「デジタル化」については、長期化するコロナの影響により、成果が現れる時期が見通せていない。
道民への各事業への理解もこれからの段階である。当然、政策自体を反対するものではないが、度重なる休業や時短要請によって、廃業や倒産、解雇の危機に瀕している飲食業界や関連業界。子どもを育てるためにパートで家計を支えていた女性が、休業支援金を受け取れず、生活の見通しが立たなくなる。やむなく非正規雇用となり、今回の感染症によって差別的な待遇を受けている方。まだまだ多くの方が苦しみ厳しい状況の中であえいでいる。そうした方に光を当て、希望を持ってもらうことが知事の責務ではないか。
感染症対策関連以外でも、人口減少に資する子育て支援や持続可能な社会の実現など、先行投資のための予算は増額する一方で、必要性に乏しい事業や効率性の低い予算については大胆に見直し、めり張りの利いた予算に組み替えるべきである。
2 行財政運営について
財政調整基金は、4年度末の見込残高を284億円と見込んでいる。収支不足額の解消に向けて知事は本会議において、当面2年間の収支対策を明らかにし、令和6年度以降は、感染症の状況や国の動向などを踏まえ、改めて見通しの精査を行い、必要な対策を行うと答弁した。今後の歳入減に備え、基金を約260億円積み増すとしているが、感染が再拡大した際に、迅速に補正予算等の編成で対応するためにも、事業抑制や経費削減を間断なく進め、積立て財源を確保すべきである。
道債残高は、令和4年度末には過去最高だった前年度末に次ぐ5兆9600億円に上る見通しとなっており、一方、歳入では、過去最多となる6200億円の道税収入を見込んでいるが、感染状況や想定どおりの税収が上向くかは見通せず、依然として財政運営は硬直化し、綱渡り状態が続いている。
また、実質公債費比率は、令和8年度には23.4%に達する予測で、財政破綻が危ぶまれる早期健全化基準の25%が目前に迫る。
道民生活を守るためには、財政再建の取組は急務であることから、中長期的な財政健全化の道筋を早急に示すべきである。
3 新型コロナウイルス感染症対策等について
昨年の組替え動議においても取り上げたが、今年度は第4波及び第5波、さらに現在は、第6波が全道的に猛威を振るっている。昨年と同様に、新たな変異株が出現する都度、対症療法的な対策が講じられてきた。基本的にこれまでの対策と何ら変わらない「後追い的・補完的な施策」でしかない。
また、コロナウイルス感染症対策は、終息後の施策も極めて重要であり、道民や事業者に対しては、長期的な支援が必要であるが、今回の予算案を見るとコロナによって痛手を受けた道民への安心感を与える将来を見据えた予算案とは言い難い。
さらに、これまでの施策の検証なくして「感染症に強い地域社会の構築」はあり得ない。
予測が立たない感染症への備えは平時にこそ構築すべきであり、加えて、感染症以外にも、我が国のどこでも起こり得る地震や集中豪雨、大雪などの自然災害に対する危機管理への予算措置にも万全を期す必要がある。
当面する課題に対処した予算組みでしかない。21日にまん延防止等重点措置は解除となったが、終息したわけではなく、「BA.2」への置き換わりを危惧する専門家もおり、第7波に対する警戒を怠ってはならない。
感染症や自然災害も包含した危機管理への予算を拡充し、医療逼迫を招かない体制づくりや保健所機能の人的強化はもとより、第6波でクラスターが相次いだ高齢者施設や障がい者事業所、学校や児童福祉施設などにも体制の強化は必要であり、まん延防止等重点措置の適用あるいは解除基準のさらなる明確化、4回目のワクチン接種の体制など、安定した真の「道民の命と暮らしを守る」環境づくりに資する予算に組み替えるべきである。
また、長期化するコロナ禍により疲弊した地域活性化のため、地域独自の取組への支援を強化するべきである。
4 ゼロカーボン北海道への取組について
道は、昨年、国に先駆けて2050年温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す考えを示していたが、第一義的には、どのように2050年にゼロカーボン北海道を実現するのか、十分に実現可能な再生可能エネルギーの導入目標、省エネルギー目標の上積みなどについて、反復し丁寧に道民や事業者に説明する必要がある。
また、2050年ゼロカーボン北海道を掲げた以上、電力については、原発に頼ることなく、2050年再生可能エネルギー100%を掲げ、熱や動力についても、再生可能エネルギーの電力から生産される水素等を用いるなど、具体的な施策とそれにリンクした分かりやすい工程表を示すべきと考える。
さらに北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例は、原子力を過渡的なエネルギーと位置づけている。道は条例の趣旨を踏まえ、原子力エネルギーに依存しない社会を一日も早く実現し、地域の資源を生かした再生可能エネルギーの活用と省エネルギーによって地域を豊かにしつつ、速やかに脱炭素社会を実現できるよう、早急に中長期目標を実現するための具体策を示すとともに、「ゼロカーボン」と経済や雇用に結びつけるビジョン、あるいは道民への事業への理解を深化させるために必要な予算措置を講ずるべきである。
5 人権政策について
令和4年度の道政執行方針におけるパートナーシップ制度の導入をはじめとする人権政策については、人権侵害が問題となっているとの認識を示すにとどまり、知事の理念や考え方等が全く語られていない。相も変わらず、人権政策については、極めて軽く扱われていることに大きな憤りを覚える。
昨年3月の同性婚訴訟における、札幌地裁での憲法違反とする判断をはじめ、また、今年に入り江別市をはじめ道内の自治体におけるパートナーシップ制度導入の動きが活発化し、多様性に対する機運が高まっている。
折しも2030年の札幌冬季オリンピック・パラリンピックの誘致に取り組もうとしているさなか、道として新たなスタイルを内外に明らかにするチャンスと捉え、差別解消、多様性を認め合う社会の構築に向けた予算措置を講ずるべきである。
6 指定管理者制度について
この度の「ネイパル」の指定管理者選定過程における不正行為は、単に道教委の問題にとどまらず、道民に対する道庁全体の信用を損なう行為である。不正行為の全貌解明と再発防止策を早期に示し、信頼回復に努めるよう強く求める。
組替動議は賛成少数で否決されましたが、私たちの考えを示すことに意義があると思います。
お預かりしていた『保育所等の最低基準(職員配置・面積基準)、保育士の処遇改善に関する意見書』については会派間の調整に奔走しましたが、残念ながら折り合いがつかず、第2回定例会で全会派一致で可決を目指して引き続き取り組みます。
一段落しほっとしたところですが、25日朝は札幌北倫理法人会で講演、26日はさっぽろにじいろフェスタ、来週から下北半島(大間原発)の視察と続きます。がんばります。