一般質問の報告
12月3日に行った一般質問のことについてお伝えします。
質問の内容の前に少し、慣例や裏話的なことをお話しします。
質問の頻度については会派によってまちまちですが、民主・道民連合では期数ごとに人数が割り当てられ、過去の質問回数などをもとに調整します。若い期数に比較的多く割り当てられ、期数の長い議員は比較的少ないかわりに、代表質問や予算特別委員会知事総括など、重めの役割が割り当てられます。
議会運営委員は質問することができません。「議事進行」の発言など議会を中断することがあった場合や、不規則なことが発生した場合に集まって整理する役割を担っているからです。
質問は、様々な団体との意見交換や、直接預かった陳情、自身の政治信条などをもとに作成しますが、会派や政党、あるいは質問の機会がない同僚議員から預かったものなどがあります。
質問時間は基本的に20分、再質問は10分、再々質問は5分と半分ずつになります。答弁の時間は含まれません。会派によっては20分2回分で40分を会派代表の質問とします。代表格質問というのがこれですが、扱いとしては一般質問の枠です。また、20分の質問時間を年度内で振り分けることもあります。質問時間が5分の場合、端数は切り上げられ、再質問は3分、再々質問は2分になります。
再々質問でも答弁に納得がいかない場合は特別発言をすることができます。時間は再々の半分、答弁はありません。
質問時間のオーバーはできませんが、時間になったからといってばっさり切られることはありません。予算特別委員会では委員長の裁量によるところが大きく、本会議場ほど厳しくないため比較的オーバーがみられますが、本会議でのオーバーは厳しく、終わった後に議会運営委員が各会派をまわって謝罪することになります。そのため、持ち時間ぎりぎりになると議場が「間に合うのか?」とざわつきはじめます。
委員会では一問一答ですが、一般質問も含め本会議ではまとめて質問、まとめて答弁なので、質問する度に演題に移動する必要はないのですが、今どの質問に対する答弁なのかわかりにくいというデメリットがあります。議会によっては導入されているところもあります。
再質問以降は1回目の質問で十分な答弁が得られない場合に、質問した項目に限って取り上げることができます。全く関係のない項目を突然持ってくることはできません。答弁を求めないこともでき、これを指摘といいます。1回目では知事部局への質問については部長や監(特定の所管において部長と同じ役割)が答えることもありますが、再質問以降は必ず知事が答えます。与党が再質問することはまれで指摘のみのことが多いのですが、今回の定例会では再質問がありました。
再質問で1回目を超える答弁があることは稀ですが、より踏み込んだ考えや想い、具体的な陳情者とのやりとりなどが乗せられ、質問者にとって重要度の高い質問であることが読み取れます。しかし、曖昧な答弁だったからといって是か否か求めた場合、逆に否定的な答弁を引き出してしまうこともあり、適度にあいまいさを残す方がむしろ施策が進むことがあります。今段階では答弁としては出せないという事情もあるようです。傍聴者にとっては、答弁の意味が読み取りにくいと思います。
議場にいる議員の人数がモニターに示されていますが、必ずしも全員ではありません。いろいろな理由がありますが、主にこのようなことです。
・会派間の重要な調整を行っている
・トイレなど
・病気やけが、家族の介護などの事情により欠席
・再質問や再々質問の送り込みのための準備をしている
・質問の意見交換を行っている
自分の質問の前後の質問者の時間に退席することはできません。これをわたしたちは「前後賞」と呼んでいます。
こうしたことを知った上で議会を傍聴すると、議会のことがより深く見えてくるかもしれません。
さて、ここまででけっこうなボリュームになってしまいましたが、一般質問の内容について説明します。今回の主なテーマは「人権を侵害する者への対策」です。これまでも人権侵害を防ぐための啓発や教育は行われており、被害者への相談窓口や保護する機関はありますが、人権を侵害する側、例えば差別をする人、ネットで誹謗中傷をした人、性加害をした人、いじめをした人など、加害側への対策が全くない、あるいは甘すぎて実効性がないなどの問題があります。これらについて取り上げたものは次の項目です。
・人口当たりの犯罪件数の推移について
・多文化共生について
・デマ情報の防止について
・入札等について
・住民基本台帳事務における支援措置申出書に係る確認書について
・いじめ対策について
・性加害の防止について
上の3つは外国人へのバッシングに関するものです。
人口当たりの犯罪件数の推移については、外国人が増えることによる治安の悪化を懸念する声がネット上に増えていることに対するファクトチェックです。検挙件数のうち外国人が占める割合の推移の結果は横ばい~微増程度で急激に増えているわけではないことが示されました。
デマ情報の防止については、知事部局に対してネット上のデマ情報への注意喚起を道庁のHPのトップに設置することを求めたもので、これについては前向きな答弁となりました。道警に対しては誹謗中傷の取り締まりの強化を求めたものです。侮辱罪や名誉毀損罪の適用は個人に対するものかそうでないかによるところが大きく、何をもって個人かは個別の判断が必要です。選挙管理委員会への質問は、デマが投票行動に影響を与え、民意と異なる結果になる懸念があり、対策を求めたものです。
入札等については人権侵害を繰り返す企業・団体等の入札等の制限を求めたものです。
住民基本台帳事務については虚偽の相談をした場合に戸籍等の閲覧制限を解除できるか質したもので、裁判して結果が出れば解除できなくもないが、そうでなければ難しいとのことでした。つまり痴漢冤罪と同様のことが発生することが分かりました。
いじめ対策については、いじめ加害者への実効性のある措置が乏しいことを指摘し、対策の強化を求めたもの、性加害防止については、大人から子どもへだけでなく、子どもから子どもへの性加害が存在し、認知と対策を求めたものです。
被害者への対応だけでは根本的な解決にはならず、加害者対策を行っていく毅然とした姿勢が必要だと思います。日本では加害者対策については及び腰で全くフェアではないのですが、海外を見れば双方向の取り組みを行っている国もあります。答弁は既存の取り組みの域を出ないものが多かったのですが、北海道人権施策推進基本方針に加害者対策を盛り込む足掛かりにしていきたいと思います。


