発達凸凹さんヘアカット
日本の人口が減少している一方で、発達障がいの方は増加し、ここ10年でASDの方が3倍、ADHDの方が6倍になっており、いわゆるグレーゾーン(境界領域)の方は11人に1人と言われています。合理的配慮の提供が今年4月1日から義務化され、障害のある方が公平公正にサービスを受けることができるようにする取り組みが進められています。
発達障がいの方へのサポートはありますが、活動場所が施設等に限られ、地域から姿が見えにくくなっています。社会資源を使って自立につなげ、地域社会に踏み出していくことが重要であり、その最初の一歩が身だしなみ、理美容室がその役割の一つとなります。
しかし、動いたり走ったりするからなどの理由から発達障がいの方が理美容室の利用を断られることが多いのが現状です。そこで、安心して利用できる理美容室を発達凸凹さんヘアカットのサイトにて紹介されています。北海道ではまだ1か所しかなく、現状をより多くの方に知っていただき、掲載する理美容室を広げていくことが求められています。
昨日、札幌理容協同組合にて開催されたセミナーでは、全国各地の理美容師の方の取り組みやヘアカットの様子、保護者の想いなどについて紹介されました。
質疑応答です
Q 料金設定は?
A1 時間設定をし、超えたら料金をいただいている
A2 初回はカウンセリングのため料金をいただいている。
A3 もし切れなかったら場合でも一部料金をいただいている。
A4 通常の料金そのまま。公平にする。必ず切れるという保証はしないということは説明している。切れないことも多々ある。
理容室ごとに設定されているようです。
Q 傷をつけてしまった場合は?事前に了承を得る?補償については?
A1 けがさせない範囲でやっている。けがさせたこともあったが、ごめんなさいと謝っている。
A2 物を壊すこともある。いま、そういう子どものための保険ある。保険(お客さん側)で買い戻してもらった。
A3 まず、癖を読もうとする。危険な子はバリカンにする。バリカンは切れない(けがをさせることはない)。
A4 安全な範囲でやるのが大前提。いまのところけがさせるようなことはなかった。怪我あったら組合の補償を使う。
けがをさせないことが前提で、万一そのような場合があっても対策はあるようです。
Q だいたい1月にどのくらいの当事者が来店する?
A1 月平均40人。土日は来月まで埋まっている。
A2 毎週日曜に7~8人。
A3 月に10~15人
A4 ほとんど発達障害専門。150人くらい。ルーティンにしたがっていつという生活をするので、次の予約入れる。週に12~3人。
A4 30~50人、ほとんどが土日中心。
捕捉 障害児の親御さんはとにかく周りに迷惑かけないように、理容師さんが時間を指定したらかならずその時間に来店される。理美容師さんがだいじな存在になっている。
わたしからの質問です
Q 補助金などが活用された事例は?
A スロープや手すりの設置に県の補助金を活用。NPOの事業を活用。助成金探してやっている。
Q 行政にお願いしたことは?
A カット代の補助。身だしなみ事業に予算を。
質疑応答の中ではありませんでしたが、このような取り組みの周知を広報してほしいという要望がありました。
お話しいただいた理美容師さんはそれぞれ、接し方や環境整備、時間・料金の設定など工夫されていました。確立された方法があるわけではないので、手探りで進めながらこのような場で好事例を共有することはとても意義があると思いました。文字では伝えにくいのですが、子どもや保護者の想いに寄り添いながら奮闘されているみなさまの言葉にとても温かみを感じました。
このセミナーで発達凸凹さんというワードを初めて知り、発達障がいの方の抱える困難や理美容師の方々の取り組みを直接聞く貴重な学びの場となりました。今後の議会議論に活かしていきたいと思います。