性的少数者に関する国民の理解増進等に関する意見書

昨日、北海道議会では今期最後の定例会が閉会しました。閉会日にはこれまで審議してきた議案などの採決が行われますが、そのひとつに意見案というものがあります。これは総理大臣や衆参議員議長などに北海道議会としての意見を出すものです。基本的には全会一致で出すため、素案をもとにそれぞれの会派で修文をかけます。まとめるにあたり全会派の最大公約数をとったような意見になりますが、まとまらなければほとんどの場合取り下げになります。

今回の意見案3号は『性的少数者に関する国民の理解増進等に関する意見書』。荒井元秘書官の不適切発言を受け、国会ではLGBT理解増進法に関する議論が行われています。一方で当事者からは『差別解消』『同性婚の法制化』を求める声が上がっています。当事者議員としての立場を果たすべく、このたび意見案をあげることにしました。

当事者の想いを通せば全会派一致を目指すことは困難です。かといって骨抜きになった意見書では意味がありません。会派間で度重なる調整・交渉がギリギリまで続き、『差別解消』『同性婚』という文言は残らなかったものの、『当事者等の不当な取扱いの防止』、理解増進『等』(差別解消が含まれる余地を残す形)という文言が入りました。ここでは書き表せないのですが、たくさんの方の多大なお力添えがあって実現に至りました。関わったみなさまに厚くお礼申し上げます。

私たちが望む『差別解消』『同性婚』にはまだ道が長いのですが、力強い一歩となりましたことをお知らせします。

以下、意見案の本文です。

意見案第3号

性的少数者に関する国民の理解増進等に関する意見書

 我が国は、持続可能で多様性を認め合う包摂的な社会を目指しており、憲法第14条の「法の下の平等」の趣旨には性的少数者も当然含まれているという考えのもと、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きと生きることができる社会を構築していく必要がある。
しかしながら、我が国においては、性的指向・性自認の多様な在り方について社会の理解が進んでいるとは必ずしも言えない状況にあり、性的少数者の多様な在り方を受容し、互いに自然に受け止め合う社会を目指すことは喫緊の課題となっている。
よって、国においては、性的指向・性自認に関する広く正しい国民理解の増進を図るとともに、当事者等の不当な取扱いの防止について一層の施策を強化するため、国会での議論を加速するよう求める。
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。

令和 年 月 日

衆 議 院 議 長
参 議 院 議 長
各通内閣総理大臣
法 務 大 臣

各通

北海道議会議長 小 畑 保 則

 

LGBT

前の記事

今期最後の委員会