■新型コロナウイルス感染症に係る諸課題と対応について 2人権施策について 3消費生活に関する施策について(令和2年3月17日)

令和2年第1回予算特別委員会第1分科会 環境生活部より(3/17)

◆(渕上) 通告に従いまして、以下、質問をしてまいります。
一つ目に、コロナウイルスに関する質問です。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マスクが買い占められ、小売店からマスクが消えるという事態が発生しました。このため、高額で転売する業者が多数あらわれました。中には、1箱数万円もの高額な事例もあったと報道されています。また、業者にとどまらず、フリマアプリなどを使った個人での高額な出品も相次ぎました。
このような転売を防止するためにどのような対策をとったか、お伺いいたします。

◎(鶴ヶ崎消費者安全課長) マスクの転売防止についてでありますが、道では、本年2月、消費者庁などの注意喚起を受けまして、直ちに消費者に対し、マスクは必要な分だけ買うこと、及び、転売目的でマスクを購入しないことなど、適切な消費行動について道のホームページにおいて繰り返し要請しているほか、メールマガジンによる啓発や消費者行政メーリングリストを用いて、市町村に対し、消費者への周知を要請してきたところでございます。
なお、こうした事態を受け、国では、国民生活安定緊急措置法に基づき、3月15日からマスクの転売禁止の措置をとったことに加えて、ネットオークション事業者に対し、マスク等の出品の自粛を求めているほか、より多くの消費者にマスクが渡るよう、インターネット販売事業者に対し、適正価格による小ロット商品の販売を要請していると承知してございます。
以上でございます。

◆(渕上) ホームページ上で注意喚起をすることはすぐにできることだと思います。また、知事の記者会見で取り扱うこともできると思います。
この点についてはどのようにお考えでしょうか。
また、台湾では、マスクの輸出をストップし、売っている店と残りの枚数をアプリで見ることができるようにし、買う枚数や買える曜日を制限することで買い占めを防止する策をとったことについて、86%の人がこの政策を支持していると報道されました。
これは、SARSのときの苦い経験をもとに対策されたとのことですが、道は、今回の新型コロナウイルスの経験をもとに、今後どのような対策をとっていくのか、お伺いいたします。

◎(鶴ヶ崎消費者安全課長) 消費者への適切な消費行動の呼びかけについてでありますが、道では、今回の新型コロナウイルスによる道内での感染者が確認された初期段階において、転売目的でのマスクの購入や不要不急の買いだめ等を行わないよう、周知啓発に努めてきたところでございます。今後も、こうした消費行動を見きわめ、可能な限り早期に対応してまいりたいと考えております。
また、特定商取引法等の法令に違反する行為を行う事業者に対しましては、行政措置を厳正に行うことにより、道民の消費生活の安定向上を図ってまいります。
以上でございます。

◆(渕上) 台湾の例のような販売の管理については今後検討されますか、お伺いします。

 

◎(鶴ヶ崎消費者安全課長) 買い占め等への対策についてでありますが、マスクを含め、生活関連物資等の割り当て、もしくは配給、または、使用、譲渡、譲り受けの制限等の措置に関しましては、国民生活安定緊急措置法の規定により国の事務とされておりまして、道といたしましては、引き続き、国の対策等も踏まえながら、道民に対して、消費者としての適切な消費行動を呼びかけてまいります。
以上でございます。

◆(渕上) 国の対策を待つのでは遅過ぎることを指摘いたします。
次に、デマ情報の防止のために実施した対策についてお伺いします。
マスクがなくなるという一方で、トイレットペーパーやボックスティッシュがなくなるという事態も発生しました。中国からの輸入がとまるために不足するなどというデマ情報が、口コミやSNSなどであふれ返ったことが原因と考えられます。
また、たとえデマでも、一度連鎖が始まってしまうと品薄となるため、デマだとわかっていても購入せざるを得なくなってしまいます。このため、通常必要とする分を購入することができないという事例が発生しました。
今回のような無関係な買い占めに対し、環境生活部としてはどのように対応してきたか、お伺いします。

 

◎(鶴ヶ崎消費者安全課長) 一部商品の過剰な購入に係る対応についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、トイレットペーパーやティッシュペーパーなど紙製品が不足するという、事実に基づかない情報が広がり、本年2月末から3月上旬までの間、これらの商品が一時的に購入しにくい状態となりました。
このため、3月初旬、経済産業省や業界団体では、需要を満たす十分な供給量、在庫があることを周知しておりまして、道といたしましても、消費者に対し、不必要な買いだめなどの行為を行わずに冷静な消費行動を行うよう、ホームページやメールマガジンにより周知したほか、市町村に対しても、消費者行政メーリングリストを用いて消費者への啓発を要請したところでございます。
以上でございます。

 

◆(渕上) これについても、ホームページ上で注意喚起をすることはすぐにできることだと思います。先ほどと同様に、知事の記者会見でも取り扱うことができると思います。どのようにお考えでしょうか。
また、今後、このようなことを防ぐためにどのような対策をとっていくのか、お伺いします。

 

◎(鶴ヶ崎消費者安全課長) 誤った情報に基づく消費行動の抑制対策についてでありますが、道といたしましては、今後とも、さまざまな機会を捉えて正確な情報を幅広く適時適切に消費者に提供していくほか、デマや不確かな情報に惑わされることがないよう、災害時や非常時に入手した情報については、消費者みずからがその情報源を調べ、情報の真偽を確認するなど、冷静な消費行動ができる消費者の育成に向け、消費者教育の充実に一層努めてまいります。
以上でございます。

 

◆(渕上) デマ情報についても、先ほどの買い占め、転売についても、共通のことですが、今回についてはホームページの掲載は3月5日となっています。そのころにはもう店頭からマスクが消えていて、買い占めや転売を防ぐことができなかったわけですし、トイレットペーパーが店頭から消える事態も発生したわけです。
2013年に北海道新型インフルエンザ等対策行動計画が策定されていて、そこには、「道は、国と連携し、道民に対し、食料品、生活必需品等の購入に当たっての消費者としての適切な行動を呼びかけるとともに、事業者に対しても、食料品、生活関連物資等の価格が高騰しないよう、また、買占め及び売惜しみが生じないよう要請します。」とあります。
この計画が今回どのように生かされたか、今後の計画の見直しの必要性について、お伺いします。

 

◎(鶴ヶ崎消費者安全課長) 新型コロナウイルス感染症への対応についてでありますが、道では、マスクについては2月13日から、トイレットペーパー等の生活関連商品については3月3日から、それぞれ道民の皆さんに適切な消費行動を呼びかけるなど、北海道新型インフルエンザ等対策行動計画の趣旨を踏まえまして、早期の対応に努めてきたところでございます。
なお、3月13日の国の新型インフルエンザ等対策特別措置法改正に伴いまして、14日から、新型コロナウイルス感染症は、北海道新型インフルエンザ等対策行動計画における対象感染症となっておりまして、道といたしましては、本計画に基づき、適切に対応してまいります。
以上でございます。

◆(渕上) 特措法の改正は3月13日でしたが、これを待っているのでは遅過ぎます。適切な消費行動を呼びかけても、結局、今回、デマや買い占めを防ぐことができなかったことをきちんと受けとめていただくよう申し上げ、指摘とさせていただきたいと思います。
続きまして、人権についての質問であります。
昨年の第4回定例会の知事総括質疑の中で、北海道人権施策推進基本方針を見直すこととしましたという答弁をいただいたことを大変うれしく思います。見直しの検討に際し、環境生活部の皆様に大きな力添えをいただいたことに心より感謝を申し上げます。
それでは、質問してまいります。
道民生活課では、人権についての取り組みとして、相談窓口において情報提供や啓発冊子の配布などをしていますが、主体的な取り組みとしてはどのようなことを行っているのかについてお伺いいたします。

 

◎(沼田道民生活課長) 人権啓発の取り組みについてでございますが、道では、道民一人一人が人権について正しい理解と認識を深めるよう、人権週間におけるフォーラムやパネル展の開催、日本ハムファイターズと連携した人権作文コンテストの実施、テレビやラジオ、インターネットなどのメディアを活用した啓発事業に取り組んでいるほか、人権教育や啓発事業に携わる人材を育成するため、道教委や市町村、関係団体等と連携して、人権教育指導者研修会や道民フォーラムなどを開催しております。
また、犯罪被害者の相談支援体制の充実に向けまして、相談窓口の設置や支援に携わる道や市町村、関係団体職員を対象といたしました研修を実施し、対応力の向上と連携の強化に努めているところでございます。

 

◆(渕上) 道民生活課では、ホームページで人権週間について掲載しています。その中で、「我が国では、世界人権宣言が採択された翌年の昭和24年から毎年12月10日の人権デーを最終日とする1週間を「人権週間」と定め、人権尊重思想の普及高揚のため啓発活動を全国的に展開しています。」と書かれています。
女性や子ども、高齢者についてなど、17項目が強調事項となっており、その一つに、「性的指向を理由とする偏見や差別をなくそう」、「性自認を理由とする偏見や差別をなくそう」とあります。
道は、性的少数者の差別をなくすことの重要性をどのように認識しているのか、お伺いいたします。

 

◎(沼田道民生活課長) 性的マイノリティーの方々への差別についてでございますが、性的マイノリティーの方々の中には、自己の性的指向や性自認を肯定的に受けとめられずに悩んだり、周囲の人々の理解不足により偏見や差別的な言葉を受けるなど、さまざまな苦痛を感じている方がいると承知しております。
人々がお互いの個性を認め合い、人権が尊重される地域社会の実現に向けては、性の多様性や性的マイノリティーの方々が抱えるさまざまな困難についての社会の理解を深めることなど、差別や偏見のない社会づくりを進めていくことが重要であると認識しております。

◆(渕上) 欧米諸国を初め、世界の主要都市では、プライドと呼ばれるセクシュアルマイノリティーのパレードイベントが恒例行事として毎年開催されています。これは、性的少数者が差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現を目指したイベントで、札幌市では1996年に初めて開催され、2003年には上田市長が参加しました。北海道の人権に対する姿勢を、道民の皆様だけではなく、対外的に示す機会となっていますし、何より、当事者にとって大きな心の支えとなっています。
環境生活部としては、このようなイベントの重要性をどのように認識しているのか、お伺いいたします。

◎(柴田くらし安全局長) セクシュアルマイノリティーのイベントについてでありますが、さっぽろレインボープライドは、孤立するLGBTに対して、みずからの存在を肯定的に捉えられるよう情報を発信し、自己肯定感の向上を目指すことや、地域社会に対して、身近にLGBTが存在することを広く知らせ、LGBTが存在することを前提とする社会制度の構築を社会へ訴えることを目的として開催されてきたものと認識しております。
こうしたイベントは、対外的に自分たちの存在を認めてほしいとの思いを持つ性的マイノリティーの方々にとって、意義のあるものであり、人々がお互いの個性や人格を尊重し合い、自分らしく暮らしていくことのできる多様性のある社会づくりにもつながるものと認識しております。
以上でございます。

 

◆(渕上) これについては、知事の認識を直接聞きたいと思っている当事者の方もたくさんいますので、総括質疑にて知事に改めてお伺いします。委員長におかれましてはお取り計らいをよろしくお願いいたします。
次に、消費生活に関する施策についてお伺いします。
道では、道民の消費生活の安定と向上を図る目的として、消費者教育の推進や消費者被害の救済などに総合的かつ計画的に取り組まれているものと承知をしております。人口減少、少子・高齢化が進行するなど、消費者を取り巻く社会情勢が大きく変化していることを踏まえ、消費者教育、消費者被害の救済について、相続対策という視点から、以下伺ってまいります。
一つ目に、消費生活リーダー養成講座についてです。
まず、道が後援し、一般社団法人北海道消費者協会が主催する、消費生活リーダー養成講座の目的についてお伺いいたします。

◎(鶴ヶ崎消費者安全課長) 消費生活リーダー養成講座の目的についてでありますが、本講座は、消費者問題について、将来、地域で中核となって活動することを希望する方や、消費生活分野に関心が高い方を対象に、消費生活に関する基本的知識の習得やリーダーとして活動するための実践的な研修を行うことを目的としているものと承知してございます。
以上でございます。

◆(渕上) 養成講座における研修についてお伺いします。
養成講座のカリキュラムでは、社会保障制度とライフプランの項目の中に「相続と遺言」とありますが、どのような内容かを伺うとともに、北海道消費者協会が本講座を実施していることについての道としての受けとめをお伺いいたします。

 

◎(鶴ヶ崎消費者安全課長) 養成講座のカリキュラムの内容についてでありますが、「相続と遺言」というカリキュラムの内容は、民法の定めや相続税の制度など、相続と遺言に関する一般的な知識を習得する内容となっております。
こうしたカリキュラムにつきましては、受講者が、消費者に起こり得るさまざまなライフイベントや関連する制度の内容などの基礎的な知識を学ぶことから、消費生活リーダーとしての活動に役立つものと考えております。
以上でございます。

 

◆(渕上) 次に、消費者被害の救済についてですが、道では、道立消費生活センターによる消費生活相談を行っています。
センターに窓口を設置し、弁護士を初めとする専門家によるバックアップ体制を整えた中で相談に対応しているとのことですが、これまで相続に関する相談があったのか、お伺いします。

 

◎(鶴ヶ崎消費者安全課長) 相続に関係する相談状況についてでありますが、道立消費生活センターに道内の消費者から寄せられた相続に関する相談は、平成30年度に19件、令和元年度は、2月末現在、11件となっておりますが、これらについて、相続当事者間のトラブルに関する相談はございません。
以上でございます。

 

◆(渕上) 団塊の世代が後期高齢者となり、相続に関する多くのトラブルが今後発生していくと考えますが、ほかの自治体に寄せられている事案を含め、お伺いいたします。

 

◎(鶴ヶ崎消費者安全課長) 相続に関係する相談内容についてでありますが、道内の消費生活相談窓口には、両親が亡くなった後に判明した借金や未払い金の弁済をめぐるトラブルや、相続に関する事務を代行する事業者等とのトラブル、保険会社との契約に関するトラブルについての相談などが主に寄せられているところでございます。
なお、トラブルの解決に当たり、相続手続が必要な場合には、法律相談の窓口を案内した上で、対応を検討するよう助言しているところでございます。
以上でございます。

 

◆(渕上) 今後の取り組みについてお伺いします。
元気なうちに相続対策をすることがトラブルの回避になり、道民の生活の質の向上につながると考えます。
道立消費生活センターが実施している、くらしのセミナーで相続問題を取り上げるなどの啓発事業を行う考えはあるのか、また、消費生活の範疇を超えることもあるとは思いますが、道民の暮らしを守る取り組みとして、環境生活部が相続案件に対応する考えはないのか、所見をお伺いします。

◎(柴田くらし安全局長) 今後の取り組みについてでありますが、相続問題につきましては、当事者間において法律で定める方法や手続によって解決が図られるべきものであり、道としましては、相続に関係して発生する消費者被害を迅速に救済するとともに、消費者が、ライフプランを含む消費生活に関する知識を身につけることは重要であると考えております。
このため、道では、今後とも、相続に関係する消費生活相談に適切に対応するとともに、道立消費生活センターで行う、くらしのセミナーなどの取り組みを通じて、ライフプランを含む消費者教育を実施してまいります。
以上でございます。

 

◆(渕上) 消費生活に絡んだ相続問題を周知する際に、元気なうちに相続対策がきちんとできていれば、相続に関する詐欺などのリスク低減につながるので、ぜひ、一緒に周知することを検討するよう指摘いたします。
この件につきましては、知事のお考えをお伺いしたいと思いますので、委員長におかれましてはお取り計らいをよろしくお願いいたします。
以上で私の質問を終わります。