■会議録GIDクリニックについて②予算特別委員会(令和元年12月5日)

令和元年第4回予算特別委員会第1分科会ー保健福祉部(12/5)

◆(渕上)
次に、GIDクリニックについての質問をします。
私のもとには、トランスジェンダーの方から、性別適合手術を受けることができる海外の病院や、ホルモン剤を安く購入できるインターネットのサイト、比較的早く診断書を出してくれる病院の情報を教えてほしい、そのような相談が数多く寄せられています。
その背景には、本道でのGID診療がなかなか進まないという現状があります。
以下質問してまいります。
GIDクリニックの現状について、まず初めに、道内におけるGIDクリニックの数、受診希望者の現状をお伺いいたします。
◎(森精神保健担当課長) GIDクリニックの現状についてでありますが、性同一性障がいの方々が個々に抱える問題に寄り添い、必要な診断、治療を行うGIDクリニックは、高度な専門性が求められるほか、精神科や産婦人科、泌尿器科等によるチーム医療が必要とされておりますため、対応可能な医療機関は、全国的にも限られており、GID学会の認定施設は、全国で6カ所で、道内では札幌医科大学附属病院のみとなっているところでございます。
また、札医大GIDクリニックの受診申込者については、平成28年が124名、平成29年が138名、平成30年が180名と承知をしております。

◆(渕上) そのうち、何人が受診できましたか。
◎(森精神保健担当課長) 受診者についてでありますが、札幌医科大学では、GIDクリニックの受診者の数を公表しておらず、患者様からのお問い合わせにもお答えしていないものと承知をしております。

◆(渕上) GIDクリニックの設置に係る課題認識についてお伺いします。
道内におけるGIDクリニックの数は十分とお考えでしょうか、道の認識をお願いします。
◎(森精神保健担当課長) GIDクリニックについてでありますが、道では、7月から9月にかけて、札幌医科大学附属病院やGID学会関係者等と、GIDクリニックの診療体制に関する打ち合わせを行ったところでございます。
その中で、GIDクリニックは、より高い倫理的判断が求められるため、診療に時間を要すること、精神科医も含め、GIDクリニックへの関心が高くなく、専門医がふえないこと、ホルモン療法が保険適用となっていないことなどの課題を把握したところであり、道内唯一のGID学会認定施設である札医大への受診申込者が年々増加しておりますことから、1人でも多くの方の診療に対応できるよう、診療体制の検討が必要と認識しているところでございます。

◆(渕上) それは、一言で言うと、足りていないということですか。
◎(森精神保健担当課長) GIDクリニックについてでございますが、道内では、札医大が道内唯一のGID学会認定施設でございますが、受診申込者が年々増加し、対応が困難になってきていると認識をしております。

◆(渕上) もう一回聞きます。足りていないということですか。
◎(森精神保健担当課長) 受診申込者数が年々増加をし、対応が困難になってきていると承知しております。

◆(渕上) 足りていないと理解いたしました。
GIDクリニックの医師の現状についてお伺いします。
道内において、GIDクリニック受診希望者を診察できる医師の数をお伺いいたします。また、それで十分と考えているのか、道の認識をお伺いいたします。もし不足しているとお考えなら、何が原因なのか、あわせてお伺いいたします。
◎(森精神保健担当課長) GIDクリニックの医師についてでございますが、GID学会では、診療を通して、性同一性障がい当事者の福祉に貢献し、当事者の方々が抱える各種の課題に対して支援するとともに、社会に対して、啓発、情報提供を行う指導的役割を担う医師を育成する認定医制度を実施しており、令和元年12月時点において、全国で27名の医師を認定しているところでございます。
また、道内においては、GID学会の関係者等による医師への啓蒙等の結果、ことし、新たに、2名の医師が認定を受け、合計で4名の医師が認定をされておりますが、精神科医も含めて、GIDクリニックへの関心が高くないことなどから、さらなる学会認定医の確保が課題と考えているところでございます。

◆(渕上) 簡単に言うと、足りていません、なぜなら、お医者さんの関心が高くないからということでいいですか。
◎(森精神保健担当課長) GIDクリニックの受診申込者が増加している中で、道内の学会認定医も4名とふえておりますけれども、対応が困難になってきていると認識をしております。

◆(渕上) 済みません。質問に対して、かみ合った答弁を返すようお願いいたします。
次の質問をします。
海外でのGID医療についてお伺いします。
手術を希望する方にとって、国内で手術を受けるのはハードルが高くて、多くの場合、海外で手術を受けているのが現状です。
道民が海外で手術を希望する場合、費用やリスク、道内で手術を受ける場合と比較したメリット、デメリットについてお伺いいたします。
◎(廣島障がい者保健福祉課医療参事) 海外の医療の現状についてでありますが、GIDクリニックに関する海外の医療の現状につきましては、診療報酬や治療体制などが異なるため、承知しておりませんが、GID学会が策定したガイドラインでは、海外で性別適合手術を受けてきた当事者の中には、身体的治療を行った際に起こり得る種々の変化などの基本的な知識を持ち合わせていないケースも多々見られ、術後の合併症に苦しむケースも散見される旨が示されているところです。
そのため、GIDクリニックには、個々が抱える問題へきめ細かに対応することが必要であることから、高度な専門性を求めるガイドラインに沿った医療を提供する国内の医療機関を受診していただきたいと考えております。

◆(渕上) リスクについてのみ、答弁がありました。
私の場合は、国内での手術を希望したのですが、余りにも時間がかかりそうだったので、2004年にタイの病院で手術を受けました。当時、20万バーツ、54万円でした。安いというメリットはありましたが、言葉が通じないというデメリットがありまして、現地のガイドが必要でした。
私のときは、大きなトラブルにはならなかったのですけれども、手術のためにタイに滞在していた友達が、言葉が通じない不安から、私に電話をかけてきたということもありました。
また、私は、職場の先輩に紹介してもらえたわけなのですけれども、情報収集が難しいというデメリットがあると思います。
したがって、当事者としては、国内でGIDの治療を受けるハードルを下げることを望んでおります。
GIDクリニックの設置拡大に向けた支援についてお伺いします。
第2回定例会の中で、札幌医科大学以外にも、道内の既存の病院にGIDクリニックを設置するように求めました。しかし、その後、1カ所も設置されていないのが現状です。
民間の病院への設置が進まない大きな理由については、精神科の医師数名から意見をお伺いしたところ、GIDをやっても利益が出ない、GIDの診察には時間がかかるから割に合わないよと、そういう御意見でした。
また、学会でGIDのことを話すと、えっ、そんなのをやっているのかと言われてしまうような状況だということでした。このままでは、いつまでたっても、GIDクリニックの設置拡大は進みません。
そこで、道として、GIDクリニックを設置する病院、または医師に対して支援する、あるいはインセンティブとなる何らかの制度を策定することはできないのか、お伺いいたします。
◎(橋本保健福祉部長) 性同一性障がいの診療体制についてでございますが、道では、これまで、道内における性同一性障がいの方々の診療体制について、札幌医科大学附属病院やGID学会の関係者の方々などと打ち合わせを行って、課題の分析などを進めてきておりますけれども、GIDクリニックには、個々が抱える問題へのきめ細やかな対応や高度な専門性などが求められます。また、チーム医療が必要とされておりますことから、早期に本格的な体制を整備していくのは難しい状況にあるものと考えております。
このため、道では、1人でも多くの方の診療に対応できますよう、課題とされております認定医の増加――2名から4名にふえておりますけれども、こういったものの増加ですとか、診断と治療に当たり、道内唯一の認定施設でございます札幌医科大学と連携をする医療機関の拡大、さらには、そうした取り組みへのインセンティブとなるホルモン療法の保険適用、こういったものについて、札幌医科大学ですとかGID学会の関係者の方々と連携した取り組みを進めながら、性同一性障がいの診療体制の確保に向けまして、検討を続けてまいりたいと考えております。

◆(渕上) 道内に、いつまでに何カ所設置するか、認定医を、いつまでに何人養成するか、目標を立てていただけないでしょうか。
◎(東障がい者支援担当局長) 今後の取り組みについてでございますが、認定医の増加等につきましては、GID学会認定医の取得を希望する医師等が少ないという状況がございますことから、まずは、GID学界の皆様と協力をして、医師への啓蒙等によりますGID学会認定医の普及啓発を進めていくことが重要であると考えておりまして、そういった取り組みをしてまいりたいと考えております。
また、今後、性同一性障がいの診断、治療に当たりましては、治療を求める方々の生命、生活を守るといった観点からも、安全に配慮した慎重な対応が求められることから、道といたしましては、ガイドラインに沿った専門的な診断、治療が必要であると考えておりますので、認定施設の札幌医科大学との提携病院等をふやすなど、そういったことについて、札幌医科大学、GID学会の皆さんと協力をしながら進めてまいりたいと考えております。

◆(渕上綾子委員) いつまでに何人、いつまでに何カ所という具体的な目標をいただくことができませんでした。
この件につきましては、知事に直接お伺いしたいので、委員長におかれましてはお取り計らいをお願いいたします。
以上で質問を終わります。