セクシャルマイノリティとアディクション二重のスティグマを生きる
依存症に関する学会(※1)の分科会『セクシャルマイノリティとアディクション二重のスティグマ(※2)を生きる』に参加してきました。座長は社会福祉学博士の大島栄子さん。トランスジェンダーの方がトランスしていくにつれアディクションから回復していった事例を紹介され、「機が熟した」(トランスジェンダーへの関心が高まってきた)ことからこの分科会を開催するに至ったとの話がありました。
講師は神奈川県立精神医療センターの医師の西村康平さんと精神保健福祉士の倉田めばさん。
西村さんからは、セクシャリティに特徴的な生きづらさを理解し依存症と同時に支援「その人」を全人的に援助する必要があることをお話しされました。
倉田さんからは、分断されるとスティグマが強化される。トランスジェンダーのグループでは薬物依存のスティグマ、薬物依存のグループではトランスジェンダーのスティグマに苦しむことになることをお話しされました。
セクシャルマイノリティが依存症なってしまう特有の要因として差別や同調圧力といった社会背景があります。西村さんからはゲイに対する偏見の少ないオランダでは、ゲイには依存症が多いという統計的な有意性が観られなかったという話がありました。差別や偏見をなくすことがセクシャルマイノリティ特有の依存症を減らすことにつながると考えられます。
※1 アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会
※2 負の烙印 汚名