少子高齢社会対策特別委員会道外調査 熊本市議会・慈恵病院
11月16~18日の日程で少子高齢社会対策特別委員会道外調査が行われています。調査地は熊本市議会、慈恵病院、PAL国際保育園です。
2日目の日程
熊本市議会 「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)と行政とのかかわり
慈恵病院 「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)の視察・院内カンファレンスの同席
(1日目は移動日でしたので省略します)
熊本市議会にて熊本市健康福祉局よりこうのとりのゆりかごについての解説、運用、課題について説明がありました。このような概要でした。
・平成19年5月より運用開始。これまでに161人が預け入れ。
・預入に来た者は母親が最多。理由は生活困窮、未婚、世間体・戸籍など多岐。熊本県外からも多く、北海道からも1人。
・支援体制の充実が求められる。子どもの父親の当事者としての自覚が必要。
・孤立出産や産後間もない長距離移動の危険性。
・身分を一切明かす必要がないと誤解されている。
・内密出産のガイドライン作成、法整備が急がれる。相談窓口の周知が必要。
などでした。
当別町で始まった赤ちゃんポストにも注目しており、北海道とも連携していきたい。他の自治体でもわがこととしてとらえていただきたい。とのことでした。
質疑応答でのわたしからの質問です。
Q1 障害を理由とした預け入れはある?
Q2 慈恵病院の取り組みを地域住民はどのようにとらえている?
A1 預かると実際には障害のある方はいる。
A2 賛否両論ある。
そのほかにも、参加議員から相談件数や法整備、出自に関することなどについて活発に質問がありました。
慈恵病院では、こうのとりのゆりかごの視察の後、蓮田院長の院内カンファレンスに参加しました。
ゆりかごの扉を開けると児童相談所と警察に連絡することになっています。まずはその前に相談につながるようインターホンが設置してあります。扉の中には来た人への手紙がおいてあり、手紙から相談につながるようメッセージが書かれています。取らないと中の戸を開くことができません。出自が全く不明になると疾患を把握できなかったり赤ちゃんがその後に出自を知ることができないなどの問題があるため、できるだけ預けに来た人とつながるよう様々な工夫や努力がされています。施設の内側は赤ちゃんに健康上の問題があった場合にすぐに対応できるような態勢、設備が整えられています。
カンファレンスはあまりに濃い内容で、削ってお伝えするのは大変心苦しいのですが、このような概要でした。
・95%以上のケースで母親は愛着障害、周辺領域の発達障害、周辺領域の知的障害、虐待の経験のどれか一つ以上に該当する。
・ゆりかごに預けるか事件になるかは紙一重。運。情報を知っているかどうか。相談窓口の周知が重要。
・正論をぶつけると支援が途切れ、事件になる。説教せずに匿名を尊重して保護することが必要。叱らず、敬意をもって接し、寄り添い、ほめ、丁寧な説明をすると9割以上は匿名性を撤回する。
・実親にとっては「いらない子」、そうではなく「神の子」という概念が必要。
質疑応答でのわたしからの質問です。
Q1 特別養子縁組をお願いしているとのことであったが、希望する方からの問い合わせはあるか?
Q2 子どもを望むLGBTQカップルからは「いらない子」なら私たちが育てるという声もあるが(※)、マッチングについてどう考える?
A1 名前を出して養子縁組したいという方に紹介することがある。
A2 養子縁組を希望する方に比べ赤ちゃんの方が圧倒的に少ないので手が届かないというのが現実。
再Q LGBTQ当事者から声を預かっている。明らかにしていただきたい。
再A 私たちがLGBTQについて勉強しなければならない。まだ先かと。ゆりかごだから救うという考えでは駄目。
多くの地元メディアが取材に来られ、終了後に会見が行われました。松山委員長、浅野副委員長による対応の様子はニュースや新聞で取り上げられました。松山委員長はこの視察について、「百聞は一見に如かず、(こうのとりのゆりかごが)ここまで充実しているという認識はなかった。」とコメントしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/501e42ea4e9a5e1025287fff5b860b8b2ef1f2af
https://kumanichi.com/articles/859191
https://www.tku.co.jp/news/?news_id=20221117-00000012
https://www.youtube.com/watch?v=0Gp6dEzm0aU
※同性婚が認められていないため特別養子縁組はできないが、里親は可。しかし、順番を遅らされているという指摘がある。