IVLP

アメリカ国務省が行う人材交流プログラムInternational Visitor Leadership Program(IVLP)に参加しました。IVLPは政治・経済・教育・文化などあらゆる分野で相互理解を促進し、人物交流を通じ広範な種々の課題について共有することを目的とするものです。

私たちのグループのテーマは女性の政治的リーダーシップの強化。アメリカには女性のリーダーシップ強化や候補者擁立の支援をする団体が数多くありました。スピーチの方法、選挙運動の練習、資金集めなどのノウハウや、地域コミュニティと意見交換、現職議員やメンターから助言を受けることができるなど実践的なものが提供されています。特定の政党によらない団体が多く、これらの団体の活動は主に寄付によって成り立っています。日本ではこのような団体はあまり見られないのでとても勉強になりました。

日本は中央集権型ですが、アメリカでは連邦政府と州政府が対等の立場で、それぞれ州独自の法律や税制があります。大まかには、憲法で定められていることは連邦政府、そうでないことは州政府という考え方です。人工妊娠中絶について、日本では母体保護法により認められています。一方アメリカでは、これまで連邦政府は女性の権利として認めてきましたが、今年6月に連邦最高裁は「憲法は中絶する権利を与えていない」という判決を下しました。従って各州での判断となり、保守的な州では中絶が認められなくなります。この判決は大きな議論となっており、今後の大統領選挙にも影響するとみられます。また、中絶以外の案件でも同様に判決が覆されることが懸念されています。

空いた時間にポーツマス条約ゆかりの施設を訪れました。条約の締結に至るまでの講和会議は1ヶ月近くに及び、特に地域の女性たちが仲を取り持つのに貢献したとのことです。ポーツマスが条約の締結に大きな役割を果たしたことは地域の住民の誇りでもあります。

アフリカンアメリカン博物館では、奴隷として連れてこられた苦難の歴史に始まり、権利を勝ち取るまでの長い闘い、そして近代から現在にかけてアメリカでの文化やスポーツなど各界で華やかに活躍されている著名人などについて展示されていました。多くの子ども連れの家族が訪れていて、自分たちのルーツを忘れないアフリカンアメリカンのプライドを感じました。

ワシントンDC、マンチェスター、ポートランド、オースティンいずれの都市でも町中いたるところにレインボーフラッグが掲げられた店や教会、施設などがあり、LGBTQにフレンドリーでした。中にはLGBTQ+専門店もありました。多くは「プログレス・プライド・フラッグ」が用いられています。通常の6色に加え、トランスジェンダー、人種的マイノリティを表すカラーがあしらわれています。

今回の研修にあたり、在札幌米国総領事館・米国大使館のみなさま、米国国務省・各都市でプログラムを組んでいただいた受け入れ先の方、通訳のみなさま・参加者のみなさま、意見交換をさせていただいたみなさま、ホームホスピタリティのご家族やご友人、協力していただいた議会関係のみなさま・ふちがみ事務所関係のみなさま・地域のみなさま・不在中うちの仔のお世話をしていただいた方々・・・・・・たくさんの方々のご助力のもと、長期間の研修を無事に、そして有意義に終えることができたことに心より感謝申し上げます。学んだことを今後の活動に活かしたいと思います。