雇用調整助成金/新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の利用が進まない件について

助成金や給付金などの申請の中でも比較的難易度の高い雇用調整助成金(以下、雇調金)と新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下、休業支援金)。いずれもコロナウイルスの影響で勤務日数や勤務時間が減った被雇用者の減収分を補填するものです。雇調金は事業主が申請するものですが、そこが大きなハードルとなったことから、被雇用者から申請できるように休業支援金が設けられました。しかしそれでも申請がなかなか進まないという現状があり、何が問題となっているのか、どうすればいいのかについて、申請しようとしてうまくいかなかった方、連合北海道、社労士さん、申請窓口、立憲民主党ジェンダー平等推進本部などと情報交換をしてきました。見えてきたハードルは次のようなものでした。

①被雇用者が休業支援金申請しても、結局は労働局から事業者に連絡が行くので、事業者が認めなければ通らない。
②事業者との関係悪化を恐れて新型コロナウイルス対応休業支援金・給付金を申請することをためらってしまう。
③事業者が、自己都合による休業・退職にするよう被雇用者に求めるケースが少なくない。
④事業者が労災保険に加入していないため雇用調整助成金を申請できない。新型コロナウイルス対応休業支援金・給付金も同様。
⑤そもそも、「知らなかった」というケースが少なくない。

これらの問題をどのように解決できるか、鉢呂吉雄参議院議員に相談をしました。関係部局からの回答をいただきましたのでお知らせします。

①過去6か月間、同じ事業所で継続して一定の頻度で就労していた実績があり、「新型コロナウイルス感染症の影響がなければ申請対象月において同様の勤務を続けさせ ていた意向」が確認できる場合には、休業支援金の対象となる休業として取り扱う。
②休業支援金を申請することにより、労働基準法第 26条の休業手当の支払義務の該当性について判断するものではないこと、事業主負担は全くないことをリーフレット等において明確化し、事業主に申請の協力をお願いしている。
③休業支援金の申請に関連して、解雇、雇止めなど職場のトラブルなどがあれば、総合労働相談コーナーにご相談ください。
④手続きの勧奨・指導等を行い、成立手続が完了した場合は支給対象となります。なお、手続きの勧奨・指導等を行っても成立(加入) 手続を取らない事業主に対しては、国の職権により成立手続を行います。
⑤各種のリーフレットやQ&Aを公表する等対応するとともに、広く周知を図るため、大臣から繰り返し記者会見で活用を呼びかける、関係省庁と連携して、各業界団体や大学、生活困窮者窓口等を通じた周知を図る、都道府県労働局からも、各地域の経済団体等を通じてきめ細やかに周知する、厚生労働省のHPやTwitterを活用するといった取組を進めてきたところです。引き続き、制度をより一層理解していただくため、丁寧な周知・説明を行ってまいります。

私が相談を受けた中で最も大きなハードルと思われたのが、事業主が労災保険に加入していないケースでした。加入は事業主の義務ですが、加入していない場合は国の職権によって加入という、強い措置が取られることとなっています。これで申請への道は大きく開けたのですが、一方で事業主との関係が悪化する懸念は避けられません。やはり事業主を通さずとも申請できるようにしてもらいたいところです。

 

雇用調整助成金ガイドブック(厚生労働省のホームページからダウンロードできます)