■会議録食と観光対策特別委員会(令和元年8月7日)
令和元年第5回食と観光対策特別委員会議事録より(8/7)
◆(渕上) IR啓発冊子について伺います。誘致の思いが強い内容となっており、公平な立場で書かれたものとはなっていません。誘致に極めて偏ったものとの印象が強いです。そもそも表紙の見出しにも、左上に「もっと知りたい」という誘致へ誘導するような表現がされています。公平な立場で書くならば、その左下にあります「IRって?」、これを一番左上に持ってくるべきだと考えます。
以下、冊子の内容を見ていきます。
1ページでは、ディズニーリゾートやユニバーサルスタジオのことを例として挙げていますが、IRとはイメージが余りにも違い過ぎます。
2ページでは、ラスベガスを例として挙げていますが、表面上の華やかなイメージ、プラス面だけが持ち出されています。私もラスベガスに行ったことがありまして、宿泊している施設で間違って裏口でタクシーをおりたのですけれども、そのときに警察から裏通りを歩かないようにと警告を受けた経験があります。このような治安面などのマイナス面が書かれていませんし、そのような写真もありません。13ページまで治安に関する記述は出てきません。そこまで読まない人にとっては、治安問題がわからないような構成となっています。
そもそもこの資料は、IRとは何か、どのようなメリットとデメリットがあるのかという情報提供資料のはずです。4ページでの、家族3世代で楽しめる、シンガポール国民にも愛されているとの記述は、これまでの議会の本質議論から大きく逸脱するものであり、明らかにIRのメリットだけを強調するものとなっています。
7ページでは、安定した収益源が必要と記述されていますが、ここで言う安定した収益源とは、ギャンブルを指していることは1ページの記述から明らかです。収益が安定しないのであれば、誘致をしなければよいのですが、とにかくIRを誘致する、IRを安定させるためにギャンブル施設が必要との前提に立っていることから、このような資料のつくりとなっています。
10ページでは、ほかのギャンブルなどよりも規制は厳しいとありますが、規制を厳しくするのは当然の話です。規制によりリスクを最小化するとありますが、ギャンブル依存症だけがリスクの問題ではありません。ギャンブルにより収益が安定しなければ、IR全体にも影響を及ぼします。これも大きなリスクの一つであります。リスクの最小化との考えは、そもそもリスクがあるのだとの前提に立っているもので、リスクをゼロにするとの考え方が最初からありません。
12ページでは、開業前にさまざまな影響を想定し対策を考えることが大切とあります。公平な立場から書くならば、誘致するか慎重に検討していく必要がありますとの表現に改めるべきだと考えています。
14ページでは、IRを設置する場合との見出しになっており、そのものが誘致を前提としたものとなっています。IRを誘致するかどうかを議論する前に整理すべき課題という内容に変えるべきだと思います。
15ページも同様です。ここも誘致を前提とした内容となっています。IRを誘致するには、いろいろなことに配慮との内容ではなく、いろいろなことを配慮し、誘致するかどうかを考えていく必要があるとすべきだと考えます。
各ページには、まだまだたくさんの問題があります。全体は誘致を前提としたもので、誘致に偏っているのは明らかです。
道のホームページから一旦これを削除し、準備中としてこの資料を回収し、いま一度、公平な視点に立った内容につくり直すべきではないでしょうか。
また、これまでの所管する委員会への対応につきましても極めて不十分でありました。改めて撤回を求めるとともに、このような冊子を公開する前に、内容を委員会できっちり議論すべきではないかと考えておりますが、いかがお考えでしょうか。
◎(三瓶経済部観光振興監) この冊子につきましては、IRをよく知らないという方々に対し、まず理解を深めていただくため、IRとは何か、IRの導入による効果や課題とはどういうものかといった疑問にお答えできますよう、事実に基づく客観的な記載に努めたところでございまして、この冊子を活用し、効果的な情報発信に努めてまいりたいと考えてございます。
なお、前回の本委員会への対応につきましては、円滑な運営に支障を及ぼしたものと反省してございまして、今後は、一層丁寧な対応に努めてまいる所存でございます。
◆(渕上) 答弁の中で、事実に基づく客観的な記載とありましたが、その事実が偏りすぎていることを、先ほど私は指摘をさせていただきました。この点について、一旦取り下げる意志があるのかどうか、検討し直す意志があるのかについてお聞かせください。
◎(三瓶経済部観光振興監) この冊子では、昨年7月に公布されましたIR整備法の趣旨などにつきまして、多くの方に知っていただくため、法で示されている内容などをわかりやすく記載したほか、IRにつきましては、現在日本で存在していないことから、諸外国の事例について、過去に問題となった例も含め、幅広く記載してございます。
また、多くの方々が懸念されてございますカジノの影響につきまして、ほかのギャンブル等との比較をしながら、そのリスクや対策について記載するとともに、環境面の課題などにつきましても、正確な記載に心がけたところでございます。
道といたしましては、道民の皆様にIR整備法の趣旨などについて知っていただけるよう、今後も情報発信に努めてまいりたいと考えてございます。
◆(渕上) 啓発冊子を出す前に、委員会でその内容について議論すべきではなかったという話ですか。
◎(三瓶経済部観光振興監) 先ほども御説明させていただきましたが、本来は報告案件としてこの啓発冊子についてお示しをさせていただく予定でございましたが、前回の本委員会への対応につきましては、円滑な運営に支障を及ぼしたものと反省してございまして、今後は一層丁寧な対応に努めてまいりたいと考えてございます。
◆(渕上) 申しわけありません。よくわかりません。委員会で議論する必要がなかったということをおっしゃりたいのですか。
◎(三瓶経済部観光振興監) この冊子につきましては、第2回定例会で、内容や配布方法などにつきまして、幅広い御議論をいただいたところでございまして、こうした御議論を踏まえながら取りまとめたものでございます。
◆(渕上) 委員会スルーされてしまったと理解しました。
続きまして、アンケートと意向調査について伺います。意向調査の具体的な文面などについては、現在検討中であると伺っております。一つ目に、意向調査については誘致したい側、したくない側、公平性がどう担保されるのでしょうか。
◎(山﨑経済部次長) 意向把握についてでございますが、グループインタビューでは、無作為に抽出した道民の皆様を対象に、それぞれ特定の場所に参集していただきまして、道側からIRについての説明を行い、双方向の意見交換を行った上で、誘致の是非に関するアンケート調査を実施することとしております。精度を高めるためにも、より多くの方々の参加を確保したいと考えております。
また、アンケートの内容につきましても、設問や選択肢に偏りがないよう、公平性に留意してまいる所存でございます。
◆(渕上) 無作為とのことでしたが、それはどのような方法に基づく無作為でしょうか。コンピューターによる無作為抽出ということでしょうか。
◎(山﨑経済部次長) 無作為抽出の方法でございますが、住民票をベースに、ランダムに選んでいくという方法で対応したいと思っております。
◆(渕上) 無作為性については理解ができました。
では、この意向調査をする前に、内容を委員会でしっかりと議論すべきではないかと考えておりますがいかがでしょうか。
◎(槇観光局長) アンケート調査についてでございますが、グループインタビューや地域説明会への参加者を対象としたアンケート調査では、IRに関する理解度や誘致の是非について、複数の選択肢を設けお答えいただくとともに、IRの誘致に対する考え方について、自由に記載していただくという方向で検討をしているところでございまして、この調査の内容については、次回の委員会までには確定をいたしまして、改めて報告をさせていただきたいと考えております。
◆(渕上) 確定して報告とありました。アンケートに移る前、実際に意向調査に移る前に、委員会で議論をする余地はありますか。
◎(槇観光局長) アンケート調査の内容についてでございますが、次回委員会までに、内容について、私どものほうで鋭意検討して取りまとめさせていただき、委員会に御報告して、御意見をいただいた上で確定をさせていただきたいと考えております。
◆(渕上) 確定する前に、委員会での議論が反映されるとの理解でよろしいでしょうか。
◎(槇観光局長) そのとおりの理解でよろしいかと思います。