北方領土対策委員会道外調査 3日目 北方領土返還要求沖縄県連絡協議会との意見交換

この調査の最後。沖縄県議会で北方領土返還要求沖縄県連絡協議会と意見交換を行いました。このような流れでした。

委員長挨拶
協議会長挨拶
北海道の取り組みについて説明
協議会の活動について説明
沖縄県の取り組みの概要について
質疑応答

北海道の取り組みについて
・北方領土は北海道の行政区域である。
・啓発活動の展開や国への要望活動を行っている。ホームページやSNS等での情報発信、署名活動、8月の強調月間、2月の北方領土フェスティバルなど。青少年への啓発としてポスターコンテストを行っている。
・ロシアによるウクライナ侵略の影響で見通しが厳しい。R4にロシアは平和条約交渉を継続しないことを表明。
・以前はビザなし交流や自由訪問事業(居住地の訪問など)、北方墓参事業を行っていた。現在はえとぴりかによる洋上慰霊。
・一日も早い返還に向け粘り強く活動していきたい。

沖縄県北方領土返還要求連絡協議会の活動について
・沖縄と北海道は国境に面した道県であり、共通した課題がある。
・43年前に発足。青年会議所の方が北方領土関係の研修を受けたことで発足。全国のノサップ会、ビザなし交流をされた方などが参加した。
・青少年の啓発活動が大事であるという当時の方のアイデアから、教育にシフトしていった
・沖縄と北方領土の問題は子どもにとって近い課題である。特別授業が中学生を中心に行われている。
・北方領土と沖縄がテーマの作文コンクールが行われている。
・北方領土の作文コンテスト(北方領土問題対策協会主催のものか?)では全国優勝4回。沖縄の子どもたちも関心を持っている。
・子どもたちもビザなし交流に参加、生徒会長が国後島に。また、ロシアの方も沖縄に来ていただいた。
・現在はかなり後退している。しかし、黙々と、地道に、絶やさず息の長い運動として取り組みたい。

質疑応答

Q 沖縄県の皆さんは北方領土問題をどうとらえている?
A 沖縄との共通点を見ている。沖縄は返ってきたのに北方領土はなぜ返ってこないのかと。
A 協会設立当初は商工会議所が多かった。教育はここ10年。教育と行政の連携、お互いの共有がそれまでできていなかったのではないかと思う。作文コンクールで入賞したとき、議会で表彰した。教育委員会など理解を示してくれている。他の県では、このような活動を秘密結社みたいに言われる。沖縄では教員が先頭に立っているので理解は進んできている。目に見える県民運動としてはこれから。コンクールは京都がいちばん応募数が多く1000を超えていた。沖縄は300だが、沖縄の子どもたちのパフォーマンスが評価されている。

Q 啓蒙活動をどのように感じているか?
A 若年者にはじわじわ。しかし、設立当初の志が高かったかたがトーンダウンしている。かつての会員に声をかけている。
A 浸透するように、時間をかけてやっていくしかない。県民の意識を向上していくように、連携しながら輪を広げること。
A 私たちが小学校のとき、復帰、北方領土や尖閣の問題を教わっていない。いまは意識の高い子どもが育っているが、30年前まで、意識は低かった。尖閣、何が問題?と言われていた。国防に関しても、米軍。本土と沖縄の意識の格差がある。根室に行って海保との意見交換もした。ロシア人が見えるところに行って現場を見ないとわからない。現場を見て、歴史を学び、真剣に考えた方がいい。
A 沖縄県民の方は戦争体験してきたので、最初は右翼とみられていた。
A 北海道の皆さんには与那国にいっていただきたい。そこからは台湾が見える。国境の現状を知ることで、沖縄の問題は必ずしも基地問題だけではないことがわかる。
A 行政と教育の連携が必要。返還運動は政治的なイメージでアレルギーも多い。しかし、若い人につなぐことが必要。アレルギーをエネルギーに。島の名前を高校入試の問題にしたことがあるか?はいという人は少なかった。根室とつないで意見交換をやっていきたい。

Q 北海道での活動にアドバイスを。
A 根室高校で活動している人数が少なく、10名以下であった。子ども同士の交流は充実したと思った(ビザなし交流で沖縄の子どもが根室に行って交流したときのこと)。「なんで取り組んでいるのか?」「元島民の祖父がいるから」(子ども同士の会話)など。子ども同士の交流は成果がある。

協議会からの質問です
Q 北方領土に関する道庁内での教育との連携について
A 道内の小中校に行って授業を行い、子どもたちの自由討論を行っている。また、若い世代の育成について、北方領土のサポーター制度がある。

(北海道での活動へのアドバイスの話からの流れと思われる)
A 他者を理解するには、政治の垣根を越えて交流するしかない。北海道のよさなどを共有して。若い子たちがどう思っているか、北海道の子どもや得能さん(元島民の語り部)や河田さん(千島連盟元副理事長)を呼んで、ロシアの子ども呼んで子どもサミットを開催し、返還ありきではなく交流型のワークショップなどをふやしていってはどうか。

また、やや踏み込んだことだったので意見交換終了後にこのような質問をしました。

Q 北方領土の話へのアレルギーとは?
A 北方領土の件は政治的な話であるため、教育現場としては取り扱いにくい。何か取り組もうとしても校長先生などにそれは政治でやることなのでと止められる。

Q 教職員の方はどのように捉えている?
A 教職員の方もいろいろな考えがある。普及していくのはまだこれから。

参加された協議会の方はそれぞれ語りつくせない想いがあり、一つの質問にみなさんが答える場面もありました。原爆や沖縄戦などと同様、当時の体験者が高齢になり、次の世代に語り継ぐことが求められる局面に来ています。この意見交換は今後の北方領土に関する啓発活動を進めていくにあたってのヒントを得る貴重な意見交換となりました。北方領土返還要求沖縄県連絡協議会のみなさまに心より感謝申し上げます。

↓意見交換が終わった後、沖縄県議会の議場を見学しました。議長席や発言台などに朱里織が装飾されています。速記席がありますが、現在は使われていないとのことです。